観光活性化フォーラム
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TCSA、派遣添乗員問題で「行動の年」−通常総会、全社一致で実行策を決議

  • 2008年3月19日
 日本添乗サービス協会(TCSA)は3月18日、第22回通常総会において、このところ派遣添乗員が労働基準監督署へ申告、各地の労基署から是正勧告が相次ぐ事態への対応として、労働環境の改善に向けた今後の実行策を決議した。総会に出席した54社が全社、一致して採択したという。TCSA会長の山田隆英氏は「今年は行動の年」とのべ、「改善は難しいが、派遣先に求める行動が必要」という。ただし、「旅行業全体がビジネスとして厳しい。旅行業界と一体となり、消費者に添乗員の(労働分を)負担をいただける風土づくりをしていかなければ」とし、一部の大手旅行会社で添乗員に関する諸問題について真剣な取り組みが着手されていると言及しながら、いっそうの待遇改善にむけた善処を求めていく。

 総会で決議した実行策は、(1)TCSA、日本旅行業協会(JATA)、サービス連合の3団体が合意した「国内日帰り旅行」、「大会行事・イベント事務局詰め」の添乗労働について、厚生労働省の見解によらず、時間管理をすみやかに実施することを派遣先の旅行会社に要請すること。(2)時間管理の具体策の検討とあわせ、時間管理に必要な時給額の算定と、首都圏は1000円を下回らないことの申し合わせ、(3)厚労省へはJATA、サービス連合とともに引き続き見解発信を求める働きかけ、(4)コンプライアンスの観点から旅行会社に対し、適正料金の収受に向けた統一的な要望活動、(5)各種の協議会や部会を通じ、添乗員の処遇改善、業務改善、環境改善に向け、全力を注ぐこと、をあげている。

 実行策は決議したものの、国内・大会イベントの時間管理の開始期日、社会保険や雇用保険については一部、不確定要素が残る。TCSA専務理事の三橋滋子氏は「時間管理は派遣元ではなく、派遣先の旅行会社がおこなうこと」として、「旅行会社と話し合いをしなければならない」と不確定要素を説明。ただし、既に「関西方面では時間管理を開始した会社もある」と語り、今後の広がりに期待を示す。また、社会保険や雇用保険については、旅行会社のインハウス系派遣会社において、適用する動きがあり、「独立系も登録する人が流れないように肩を並べざるを得ない」として、改善が進むとの考え。ただ、海外旅行は現行のまま。旅行会社側との見解が大きく異なる例として、「ナイトフライトの場合、寝ている場合でも労働時間に含まれる」ということをはじめ、派遣先、派遣元の考えが一致しない点も多く、引き続き理解を図りたいとの考えだ。