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クルーズ商品、早期販売が不可欠−リスクあるも、販売増のメリットも

  • 2008年3月12日
 日本外航客船協会(JOPA)と日本旅行業協会(JATA)は3月11日、クルーズ商品の早期販売をテーマに「クルーズ販売セミナー08」を開催し、50万人の市場規模を達成するため、消費者に早期予約のメリットを理解してもらう啓蒙活動が重要と訴えた。商品の早期造成は旅行会社にとって、航空運賃の決定前に商品を造成しなければならず、またキャンセル率も上昇するというデメリットがあり、これまでJATAクルーズ旅行推進部会で協議を進めていたが、抜本的な対策は見いだせていない。ただし、最近はクルーズ船社が日本の旅行市場の特性に配慮しなくなる傾向が強く、アジア・クルーズの増加でインドや中国などアジア諸国の市場が急速に拡大しており、早期販売は競争力を高める方策であるという。

 セミナーでは、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)の日本総代理店(GSA)であるミキ・ツーリストのクルーズセンター営業係長の糸川雄介氏が日本とアメリカのクルーズ販売の現状について語った。糸川氏は、2007年のアメリカのクルーズ人口が対全人口比3%から4%であるのに対し、日本は0.1%の約18万人にとどまること、2006年の日本のクルーズ人口が前年比13.1%増であったことから、「潜在的な需要は大きい」と説明。一方、アメリカでの販売手法がグローバル・スタンダードとされており、「グループ用のキャビンが少なく、さらにアロットのリコールも早い」という課題を指摘。「早期割引や料金変動制のメリットを紹介し、グループ用アロットを早期に使用する必要がある」と強調した。

 ディスカッションでは、「早期割引や、利用可能なキャビンの選択肢が増える点をアピールしていく啓蒙活動が最も重要」という点で意見が一致。早期の販売促進策として、商品造成や催行決定、ネームインなどの早期化が必要との意見が出されたほか、キャンセル時に理由を問わず100%補償ができる保険を整備するといった制度面の課題もあがった。商品造成の早期化は、少なくとも現在から3ヶ月ほど前倒しする必要があり、パンフレット作成を早めた会社の販売実績が伸びているという実例が紹介された。こうした場合、旅行会社のメリットは、「特に長期間のクルーズでは、1年半前の予約であれば、旅行用の積み立て型金融商品、事前のお試しクルーズの提供ができ、販売機会が増える」という。