JATAがミャンマー視察−訪問者数5万人に向けたチャーター便に優遇策

  • 2008年3月11日
 日本旅行業協会(JATA)は3月4日から3月9日、ミャンマーへの視察団を派遣、現状や観光素材の視察とともに、ミャンマー政府ホテル観光省総局長のテイ・アン氏らと会談し、意見交換をおこなった。これは、昨年9月のヤンゴンのデモよる混乱の影響を受け、観光客訪問の復興に向けて在日ミャンマー特命全権大使からの要請を受けたもの。視察団はJATA事務局長の奥山隆哉氏、日本ミャンマー観光促進委員会(MJTC)事務局長でエーペックスインターナショナル代表取締役会長の松岡修氏、ジェイティービー(JTB)国際関係部長の古澤徹氏など合計10名。アン氏との会談では、ミャンマー側が日本人訪問者数を現在の2万人規模から早期に5万人規模としたい考えを示し、チャーター便の利用者に限り、簡易にビザ発給をする方針を打ち出した。

 ミャンマーへの日本人訪問者数は、全日空(NH)が直行便を運航していた1995年ごろをピークに、2000年以降は2万人前後で推移。昨年はデモの規模が拡大した9月以降は大幅に減少し、通年で前年比17.5%減の1万5623人となった。こうした状況があるものの、バガンとマンダレー、インレー湖、ヤンゴンといったミャンマーの観光地を周遊した視察団の参加者からは、「きわめて安全で安心できる場所。欧米人も戻っている」、「改めて観光資源の豊富さに驚嘆する」、「人々の穏やかさ、優しさが素晴らしい」など、観光地としてのミャンマーの可能性は非常に大きいという意見が聞かれた。

 JATAとミャンマー政府ホテル観光省の意見交換において、総局長のアン氏は「早期に5万人規模まで増やしたい」と目標を示し、そのための方策をJATAに質問した。JATAは、「百聞は一見にしかず」(奥山氏)という実感を踏まえ、「観光資源の豊富さ、安全、人々の優しさの3点が日本人に受け入れられる」としつつ、ビザなど入国手続きの簡易化、電話やインターネットなど通信インフラの整備、メディア露出による積極的なイメージ戦略、日本語ウェブサイトによる観光情報の充実など、これまで日本で議論をしてきたポイントを伝えた。また、JTBの古澤氏はクロアチアでのチャーター便の成功事例をあげ、「MJTCのメンバーを中心にチャーター便を設定したい。ビザの緩和や歓迎式典などの特典を用意していただきたい」と要請。これに対し、アン氏は「チャーター便の利用者に限り、アポン・アライバル・ビザ発給を簡易化する方向で考えており、責任を持ってホテル観光省大臣に掛け合う」と回答。こうしたミャンマー側の対応は「これまでにない踏み込んだ内容」(松岡氏)で、日本人の誘致にかける意気込みを示したものとなった。なお、日本側からは、ホテルのバリアフリー化など、日本側では出来ない対策を進めて欲しいといった意見も出された。


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