英国政府観光庁、2012年に年50万人目標で反転攻勢へ−次期キャンペーンで

  • 2008年3月3日
 英国政府観光庁(VB)は日本人訪問者数を2012年のロンドン・オリンピック開催にあわせ50万人をめざして活動をしていく。VBが3年間継続した「英国式幸福論」キャンペーンの終了にあわせ来日したVBチーフ・エグゼクティブのトム・ライト氏が明らかにし、次期キャンペーンで日本人訪問者数のトレンドを反転させたい考え。この3年間のキャンペーンでウェブサイトへのアクセス数が200万件、メディアでの露出、イベントへの参加者通算33万人など効果は高いという認識で、日本市場の欧州訪問者数の中でのシェアは維持。一方、日本人訪問者数が長距離のデスティネーションについて減少していることにあわせ、1990年の60万人から現在は30万人台にまで減少した。

 今年は日英修好150周年にあたり、「UK−Japan2008」が開催されるが、これを契機として長期的な観点からプロモーションを展開する。特に、「伝統的な英国」のイメージを変えていくことに注力。アート&カルチャー、スコットランド・プレミアリーグのセルティックで活躍する中村俊輔選手で注目されるサッカーを中心としたスポーツ、2012年のオリンピックがプロモーションの主軸となる。この新プロモーションでは、首都ロンドン、欧州文化都市のリバプールなどで新たな開発等による新しい素材が多くあるものの、旅行商品では伝統や歴史の側面が強く、変化する側面が十分に旅行業界に浸透していないことから、消費者と旅行商品とのギャップがあると認識。アジア諸国と比べても、香港やシンガポール、あるいは訪問者数の伸びが大きいインドなど、イギリスの伝統と新たな側面と双方を取り込んだ旅行が多く成功しており、こうした点は日本でも旅行業界と協力して取り組む考え。さらに、旅行商品は価格競争が強い観点については、コンテンツや体験重視の志向が中心となるよう、旅行業界にとっても利益確保の観点からプラスになること、消費者にも良質な旅行体験が得られることを訴えていくという。


▽ロンドンは2012年に向け受け入れ着々−独自PR展開も

 ロンドン観光局チーフ・エグゼクティブのジェームズ・ビドウェル氏も来日し、2012年に向け、日本市場の2%減から3%減の傾向を反転させる考えを示した。ロンドンは英国全体と同様に伝統、歴史、ロイヤルファミリーなどを象徴とした旅行需要が多いものの、英国の景気が上昇気流にあることも受け、文化、食など現代を体験できる機会は多いことをこれまで以上に打ち出していく。現在、日本市場でPR展開する「go London」ではロンドンの伝統的ホテルからブティックホテルまで幅広く新旧を取り上げており、レストランも新しいものを照会しており、ビドウェル氏は「結果が見えるのであれば、投資を継続したい」という。

 また、ヒースロー空港に今月末、ブリテッシュ・エアウェイズ(BA)の便が集約されるターミナル5の供用が開始される。最新の荷物システム導入で、1時間に1万2000個の手荷物を輸送でき、年間の旅客利用許容量についても大きく拡大する見通し。旅行業界ではロスト・バゲージについての問題意識が高まっているが、ビドウェル氏「新たな人員体制やイミグレーション、バゲージ・システムなど大きく改善される」と語り、ライト氏も同様に「(ロスト・バゲージなどの)問題は大きく改善され、ヒースロー空港が新しく変わっていく」との考えを示した。