フィリピン、訪問者数の増加と消費額の多い層の獲得めざす−日本重視は継続

  • 2008年1月28日
 フィリピン政府観光省(DOT)は、アセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)において将来的な目標に、単純な訪問者数の増加だけでなく、長期間滞在をはじめ消費額の多い層を取り込むことをめざし、これが「究極の目的」という方針を示した。DOT副長官のオスカー・パラブヤブ氏は「質の高い旅行者は、国家により多くの機会をもたらす」と期待を示す。2007年は、全世界からの訪問者数は前年比8.7%増の309万1993人となり、初めて300万人超となった。また、観光収入は41%増の48億8500万米ドル(約5191億8380万円)となった。この結果は、当初目標としていた37億8200万米ドル(約4019億5560万円)を29.2%上回った。また、平均宿泊日数も2006年の12.06泊から16.70泊に増加した。

 DOTは、2008年の目標を18.3%増となる58億米ドル(約6164億3110万円)に設定。パラブヤブ氏は、「この数値は、当初の『2010年に50億米ドル(約5314億610万円)』という目標を2年前倒しで達成するもの」と協調する。そして「我々は、利用可能なインフラや資源を有効活用し、旅行産業の質を最大限に高める」と語る。例えば、セブやボラカイ、ネグロス・オリエンタルなどで宿泊施設の開発が進んでいるという。

 目標達成の方法は、主要市場への注力と潜在需要の高い戦略的市場への取り組みだ。主要市場は、訪問者数上位の韓国とアメリカ、中国、日本などという。07年は、韓国が14.2%%増の65万3310人でシェアは21.1%(1位)、アメリカが2.0%増の57万8983人でシェア18.7%(2位)、中国が18.0%増の15万7601人でシェア5.1%(4位)。日本は6.4%減の39万5012人と唯一減少しているが、シェアは12.8%と依然高く、「重要性は変わりない」という。中国については、フィリピン航空(PR)が「路線網を充実する予定」だ。

 一方、ロシアやスカンジナビア諸国、インドなどを戦略的市場として高い伸びを見込む。ロシアは訪問者数が128%増で、セブにウラジオストク航空(XF)など3社のロシア系航空会社が定期便やチャーター便を就航している。スカンジナビア諸国は、16%増から24%増と勢いが良く、インドも2ケタの伸びを続けている。

 マーケティングの方針は、旅行者が旅行を思いつく段階から旅行後まで、「フィリピンの認知度やイメージ」、「旅行商品の販売チャンネル」、「旅行会社」、「(航空路線の)アクセス性と空港」、「ホテル」、「旅行の満足度」、「商品やサービスの質」など、項目を細分化して分析し、その結果を活用していく。さらに、これまでのプロモーションの結果、ゴルファーやダイバー、ハネムーン、ファミリー層など訪問者の層も多様化してきており、今後も英語などの学習に適したデスティネーション、あるいはメディカル・ツーリズムなどのプロモーションを継続する方針だ。