タイ国政府観光庁、08年も「質」の追求続け全世界から6%増の1570万人狙う

  • 2008年1月28日
 タイ国政府観光庁(TAT)は2008年、全世界からの訪問者数は前年比6%増の1570万人、観光消費額は10%増をねらう。TATは昨年、「質」を前面に打ち出したプロモーションを展開、この方向性を継続していく。TAT総裁のポーンシリ・マノハーン氏は、アセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)において、「2007年は訪問者数1450万人、消費額は5470億バーツ(1兆8680万円)を達成できる見込み。(この要因は)アメージング・タイランド・キャンペーンで、タイが平和でホスピタリティがあり、一年を通して魅力がある、質の高いデスティネーションというイメージを打ち出せた」と語る。訪問者数は、スワンナプーム空港からの入国者だけで5.82%増の1037万486人という。

 今年の目標達成に向け、観光資源を7つのテーマに分類して市場を明確化し、全世界でテーマに即したマーケティング活動を展開する。「一般的に(タイは)良好なイメージを得ているが、旅行者の嗜好は変化しており、それに応じて我々も変化しなければならない」という考えから、「Seven Amazing Wonders of Thailand」として、アメージング・タイランド・キャンペーンを継承、発展させる。テーマは、(1)「タイネス」(タイの伝統的生活の経験)、(2)「トレジャー・プロダクト」(遺産と歴史の地)、(3)「ビーチ」、(4)「トレンド」、(5)「自然」、(6)「ヘルス&ウェルネス」、(7)「フェスティバル」の7つ。

 「タイネス」は、タイの伝統的なホスピタリティやライフスタイル、人々の親しみやすさを感じられるもの。具体的には食やフルーツ・カービング、キックボクシング、古典ダンスなどで、サイアム・ニラミット、ジョー・ルイス劇場、ル・コルドン・ブルー・デュジット・アカデミー・オブ・ワールド・キュイジーヌ、ローズ・ガーデン・クッキング・スクールなどという。「トレジャー・プロダクト」は、世界遺産や寺院、博物館など。定番の「ビーチ」では、それぞれのビーチで異なる特色をアピールしたい考え。

 「トレンド」は、ブティック・ホテルやショッピングセンター、レストラン、ナイトライフ、エンターテイメントなどで、若年層がターゲット。「自然」では国立公園なども取り上げる。また、「ヘルス&ウェルネス」は、ラリン・ジンダ・ウェルネス・スパ・リゾートで提供しているような、予防的かつ治癒的なセラピーとトリートメントだ。「フェスティバル」は、フアヒン・ジャズ・フェスティバルやバンコク・インターナショナル・ダンス・アンド・ミュージックフェスティバル、プーケット・レガッタなど、人気のある大きなイベントを紹介する。

▽「質」重視の方向性の成果は?

 「質」志向について、2008年の目標を、訪問者数6%増に対して消費額を10%増に設定し、旅行者数の伸びに対して、消費額の伸びが上回る。マノハーン氏は、「2年前までは(訪問者数の)量を求めてきたが、この2年間は質を求めてきた」と語り、「航空座席に限界がある」とその理由を語る。その一方で、宿泊施設や交通インフラなど質の向上が続いており、最近は航空座席がファーストクラス、ビジネスクラスが先に予約が入る動向も顕著だという。マノハーン氏は、「ホテルは顧客層をFITに変えつつあり、この方向性は将来的に消費額を高くし、宿泊日数も長くすると信じている」と期待を示す。
 また、08年度の予算については、「10%増」となり、3分の1は組織の運営費用、3分の2はマーケティングとプロモーションに振り分ける予定だ。「海外市場のプロモーション活動の重要性が増している」ことから、マーケティング・プロモーション費用のうち、50%はタイ・インバウンドに費やす。新興市場としては、インド、南アフリカ、CIS諸国、インドネシア、ベトナム、フィリピンで、日本や中国など主要市場とともに力を入れる。日本については、「非常に重要。2007年は望ましい結果ではなかったが、我々が何をできるのか、何をすべきなのかを考えている」という。また残りの30%は国内旅行の振興、20%はIT関連の費用だ。国内旅行の振興についても、「ただ振興するわけではなく、タイ国民に良い旅行者になってもらうための活動も含む」といい、「良い旅行者は自らの振る舞いだけでなく、海外からの旅行者を適切に迎えられなければならない」と語った。

 なお、タイでは2008年、4月に太平洋地域旅行協会(PATA)が初開催となる「PATA CEO Challenge 2008」をはじめ、「アメージング・タイランド・グランド・セール2008」が6月1日から8月31日まで開催。また、タイランド・ツーリズム・フェスティバル(TTF 2008)、タイランド・トラベル・マート・プラス・ゲートウェイ・トゥ・グレーター・メコン・サブリージョン(TTM+)が6月5日から7日に開催するほか、6月23日から27日にはライオンズ・クラブのコンベンションのホストを務め、約2万人の参加を見込んでいる。


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