ハワイ体験レポート−その2 コナ・コーヒーはスピリチュアル・フード?!
コナ・コーヒーはスピリチュアル・フード?!
内田ファームの歴史ツアーとUCCのコーヒー焙煎体験
ハワイ島の西側、フアラライ山の中腹はコナコーヒーの生産地だ。約40キロメートルほどのエリアに大小600ものコーヒー農園が集まり、「コナコーヒーベルト」と呼ばれている。その生産量は全世界の総生産量のわずか1%以下で、ブルーマウンテンに並ぶ貴重種として人気が高い。ハワイ島の「マナ」(霊力)に護られて育つからなのか、澄んだ空気と水はけの良さ、朝晩の温度差が適切であるためか、コーヒーの生育に理想的な場所らしい。あるスピリチュアルカウンセラーが「コナコーヒーはスピリチュアルフード」と言ったそうだが、そんなお墨付きななくても、その美味しさに十分に人の心を癒す力がありそうだ。今回は日系人の農場跡を歴史博物館として公開している「内田ファーム」と、コーヒー焙煎が体験できるUCCのファクトリー・アウトレットに、スピリチュアルな(?)コーヒー体験にでかけてみた。
(現地取材:宮田麻未 写真:神尾明朗)
内田ファーム http://www.konahistorical.org
UCCファクトリー・アウトレット http://www.ucc.hawaii.com
◆コナ・コーヒーの歴史を作った日系人
コナコーヒー・リビング・ヒストリー農園、通称「内田ファーム」は、1925年に九州から移民してきた内田家の人々が、1994年まで住んでいた建物や農地をそのまま歴史博物館として公開しているものだ。現在でも生産が続いているが、来園客向けに1940年代ごろの日系人の暮しぶりや習慣、文化などを想像する手がかりを上手に紹介してくれる。
コーヒーがハワイ島に持ち込まれたのは19世紀後半。最初は大型のプランテーションとした開拓されたが、価格が不安定であったことから残ったのは小さな農園だった。重労働のコーヒー作りに耐えたのは日系人たち。第二次大戦前には、このエリアの人口の50%以上が日系人だったそうだ。
1926年に建てられた内田氏の質素な家の中には、手作りの仏壇、クラシカルなタイプライター、コーヒー豆を使って作った人形などが自然な形で再現され、当時の苦労や喜びを想像させてくれる。和服にエプロンをした係員が、農作業に持っていくお弁当作りやお米の入っていた袋で作った子供服などを見せて、当時の日系移民の暮らしぶりを語る。日本語でのガイドもしっかりしており、修学旅行や研修旅行などの素材としても可能性があると感じた。
外の作業場では、モンペに麦わら帽子をかぶった係員が案内。最後はコーヒー畑で収穫の様子を見せてもらった。枝先にびっしりと並んだコーヒーの実は、熟すと鮮やかな赤になる。熟した実を口に含むとほのかに甘い。これを一粒、一粒手で取っていたと聞くと、コナコーヒーのうまみが
いっそう貴重に思えた。
◆特製コーヒーを自分で焙煎しよう!
コーヒーの「通」なら、焙煎も自分でやってみたくなるそうだ。日本の有名コーヒーメーカーUCCのファクトリー・アウトレットでは、丁寧な指導でコーヒー焙煎を体験できる。コナコーヒーベルトの中でも、自分でコナコーヒーを仕上げられるのはここだけ。自分で焙煎したコーヒーは、焙煎した本人の顔写真で作成したオリジナルラベルを貼って、持ち帰ることができる。コナコーヒーの本場を旅した良い思い出になりそうだ。
焙煎の行程では、白っぽい豆がきつね色から茶色へと濃さを深めていくうちに、なんともいえない良い香りが漂ってくるのがうれしい。「豆のたてる音に気をつけて!」とUCCの担当者から声がかかると、一緒に焙煎体験をしている全員が静かになって耳を澄ませる。ときおり、木杓子を焙煎機の中に入れて豆を取り出して様子を見るのもワクワク。出来上がりが近づくと、心地よい緊張感と興奮で心臓が音をたてているのがわかるほどだ。
焙煎の度合いは自分で決める。ダークローストにしすぎてしまうと、かえってカフェインが少なくなってしまうと教えてもらったので、ミディアムで止めるつもり。豆の音を聞いて、ゆっくり10数えることにした。
「できた!」と思ったら、手早く豆を特製の扇風機の上に置かれたザルに移し、あら熱を取る。ここの手早さが肝心らしい。美しいこげ茶色の豆のおいしそうな香りに思わず笑顔。「ミヤタ・スペシャル・ロースト」という文字と、私がニンマリ笑っている写真のついたオリジナル・ラベルを貼った袋にコーヒー豆を入れるのは、正直、期待をはるかに超える楽しさだった。
このオリジナル・ラベルは予約すれば何十枚でも作ってくれるので、結婚式の引き出物や新婚旅行のおみやげなどに利用することもできそうだ。このほか、100%コナコーヒーの袋詰めから、特選の豆だけを使った限定品、おしゃれなマグカップまで、コーヒー愛好家へのおみやげにぴったりの品がたくさんそろっている。名物のアイスクリームもなかなかおいしかった。
◆「大人の味」を楽しむマーケットへ
芳醇な香り、かすかに感じる酸味、まろやかな喉ごし…。コーヒー愛飲家にとって、コナコーヒーはまさに液体の宝石。日本でも、一部の愛飲家の「知る人ぞ知る」名品だ。自分の嗜好品にこだわる「団塊の世代」のマーケットに、このコナコーヒーベルトの旅は強い訴求力があると思われる。
単純に「焙煎体験」や「本場でのコーヒー豆ショッピング」というのにとどまらず、コーヒーベルトの地域全体で「知的好奇心を心地よく刺激される旅をする」という視点で日程を組み立てることも十分に可能だ。FITにも積極的に提案できる素材だろう。「コナ・スノー」と呼ばれる、コーヒーの真っ白な愛らしい花が咲く3月末から5月頃は、特に女性客への訴求力が強まる。11月のコナコーヒー・カルチュラル・フェスティバルに合わせたツアー作りも考慮できる。
コナコーヒー・カルチュラル・フェスティバル http://www.konacoffeefest.com
内田ファームの歴史ツアーとUCCのコーヒー焙煎体験
ハワイ島の西側、フアラライ山の中腹はコナコーヒーの生産地だ。約40キロメートルほどのエリアに大小600ものコーヒー農園が集まり、「コナコーヒーベルト」と呼ばれている。その生産量は全世界の総生産量のわずか1%以下で、ブルーマウンテンに並ぶ貴重種として人気が高い。ハワイ島の「マナ」(霊力)に護られて育つからなのか、澄んだ空気と水はけの良さ、朝晩の温度差が適切であるためか、コーヒーの生育に理想的な場所らしい。あるスピリチュアルカウンセラーが「コナコーヒーはスピリチュアルフード」と言ったそうだが、そんなお墨付きななくても、その美味しさに十分に人の心を癒す力がありそうだ。今回は日系人の農場跡を歴史博物館として公開している「内田ファーム」と、コーヒー焙煎が体験できるUCCのファクトリー・アウトレットに、スピリチュアルな(?)コーヒー体験にでかけてみた。
(現地取材:宮田麻未 写真:神尾明朗)
内田ファーム http://www.konahistorical.org
UCCファクトリー・アウトレット http://www.ucc.hawaii.com
◆コナ・コーヒーの歴史を作った日系人
コナコーヒー・リビング・ヒストリー農園、通称「内田ファーム」は、1925年に九州から移民してきた内田家の人々が、1994年まで住んでいた建物や農地をそのまま歴史博物館として公開しているものだ。現在でも生産が続いているが、来園客向けに1940年代ごろの日系人の暮しぶりや習慣、文化などを想像する手がかりを上手に紹介してくれる。
コーヒーがハワイ島に持ち込まれたのは19世紀後半。最初は大型のプランテーションとした開拓されたが、価格が不安定であったことから残ったのは小さな農園だった。重労働のコーヒー作りに耐えたのは日系人たち。第二次大戦前には、このエリアの人口の50%以上が日系人だったそうだ。
1926年に建てられた内田氏の質素な家の中には、手作りの仏壇、クラシカルなタイプライター、コーヒー豆を使って作った人形などが自然な形で再現され、当時の苦労や喜びを想像させてくれる。和服にエプロンをした係員が、農作業に持っていくお弁当作りやお米の入っていた袋で作った子供服などを見せて、当時の日系移民の暮らしぶりを語る。日本語でのガイドもしっかりしており、修学旅行や研修旅行などの素材としても可能性があると感じた。
外の作業場では、モンペに麦わら帽子をかぶった係員が案内。最後はコーヒー畑で収穫の様子を見せてもらった。枝先にびっしりと並んだコーヒーの実は、熟すと鮮やかな赤になる。熟した実を口に含むとほのかに甘い。これを一粒、一粒手で取っていたと聞くと、コナコーヒーのうまみが
いっそう貴重に思えた。
◆特製コーヒーを自分で焙煎しよう!
コーヒーの「通」なら、焙煎も自分でやってみたくなるそうだ。日本の有名コーヒーメーカーUCCのファクトリー・アウトレットでは、丁寧な指導でコーヒー焙煎を体験できる。コナコーヒーベルトの中でも、自分でコナコーヒーを仕上げられるのはここだけ。自分で焙煎したコーヒーは、焙煎した本人の顔写真で作成したオリジナルラベルを貼って、持ち帰ることができる。コナコーヒーの本場を旅した良い思い出になりそうだ。
焙煎の行程では、白っぽい豆がきつね色から茶色へと濃さを深めていくうちに、なんともいえない良い香りが漂ってくるのがうれしい。「豆のたてる音に気をつけて!」とUCCの担当者から声がかかると、一緒に焙煎体験をしている全員が静かになって耳を澄ませる。ときおり、木杓子を焙煎機の中に入れて豆を取り出して様子を見るのもワクワク。出来上がりが近づくと、心地よい緊張感と興奮で心臓が音をたてているのがわかるほどだ。
焙煎の度合いは自分で決める。ダークローストにしすぎてしまうと、かえってカフェインが少なくなってしまうと教えてもらったので、ミディアムで止めるつもり。豆の音を聞いて、ゆっくり10数えることにした。
「できた!」と思ったら、手早く豆を特製の扇風機の上に置かれたザルに移し、あら熱を取る。ここの手早さが肝心らしい。美しいこげ茶色の豆のおいしそうな香りに思わず笑顔。「ミヤタ・スペシャル・ロースト」という文字と、私がニンマリ笑っている写真のついたオリジナル・ラベルを貼った袋にコーヒー豆を入れるのは、正直、期待をはるかに超える楽しさだった。
このオリジナル・ラベルは予約すれば何十枚でも作ってくれるので、結婚式の引き出物や新婚旅行のおみやげなどに利用することもできそうだ。このほか、100%コナコーヒーの袋詰めから、特選の豆だけを使った限定品、おしゃれなマグカップまで、コーヒー愛好家へのおみやげにぴったりの品がたくさんそろっている。名物のアイスクリームもなかなかおいしかった。
◆「大人の味」を楽しむマーケットへ
芳醇な香り、かすかに感じる酸味、まろやかな喉ごし…。コーヒー愛飲家にとって、コナコーヒーはまさに液体の宝石。日本でも、一部の愛飲家の「知る人ぞ知る」名品だ。自分の嗜好品にこだわる「団塊の世代」のマーケットに、このコナコーヒーベルトの旅は強い訴求力があると思われる。
単純に「焙煎体験」や「本場でのコーヒー豆ショッピング」というのにとどまらず、コーヒーベルトの地域全体で「知的好奇心を心地よく刺激される旅をする」という視点で日程を組み立てることも十分に可能だ。FITにも積極的に提案できる素材だろう。「コナ・スノー」と呼ばれる、コーヒーの真っ白な愛らしい花が咲く3月末から5月頃は、特に女性客への訴求力が強まる。11月のコナコーヒー・カルチュラル・フェスティバルに合わせたツアー作りも考慮できる。
コナコーヒー・カルチュラル・フェスティバル http://www.konacoffeefest.com
オールド・コナでタイムトラベル
コナ空港から南へ走ると、次々と小さな町や村が現
れる。1950年代や60年代に青春を過ごした人なら、
たまらない懐かしさを感じる「ハワイの海辺の街」
がそこにある。時をさかのぼってタイムトラベルを
しているようだ。ハワイ島でレンタカーを借りるな
ら、コナコーヒーベルトをめぐりながら、「オール
ド・コナの世界」も訪ねてみたい。
このタイムトラベルでのランチは、内田ファームの
すぐ近く、キャプテン・クックの村にある「マナゴ・
ホテル」がおすすめだ。コナで一番古いこのホテル
は、シンプルな薄茶色の外観に、古いアメリカ映画
で見たような看板が目印。今でも一泊50ドルほどで
泊まることができる。人気があるのは日本風のお風
呂のついた部屋で、こちらは70ドルだ。
ホテルの奥にあるレストランでは、ハワイの日系人
の典型的なホームメイドの料理が味わえる。分厚い
ステーキもどこか和風な味付け。ハワイ名物のスパ
ムを使った野菜炒めや魚のフライなど、なぜか懐か
しい味がする。壁に飾られた写真や絵のノスタルジ
ックな雰囲気も不思議な旅情を感じさせてくれる。
マナゴ・ホテル http://www.managohotel.com