日本旅行、08-10年の中期経営計画で成長、基幹分野で営業強化し上場めざす
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日本旅行イノベーションでは、2003年のSARS流行による計画修正を経た目標数値では、単体で2005年、2006年、連結では2004年から2006年の3期連続で過去最高益を確保し、事業構造の転換、事業領域の拡大、グループ会社の強化、経営体質の転換・強化を柱としており、「ある程度の成果を収めることができた」(金井社長)という。その一方、2007年度については、経常利益は2005年度と同程度であるものの目標を下回るほか、上場に欠かせないコンプライアンスの取り組みで、前払式証票などでの行政処分など「課題も多い」という。上場は東京証券取引所の第2部をめざすが、2007年度決算は赤字となる見込みから、「東証の形式的な要件には合致しないが、引当金の計上という基準変更による赤字で、可能性が全く無いわけではない」(金井社長)とし、可能であれば企業内の体制が整い、要件が満たされた場合の早期に上場したいとの考えだ。
成長分野ではインターネットの取り組みについて「ネットの取り組みでは先行していたことが多いが、『先行者利益』が多く得られていない。ネット市場の伸びと同程度の成長性を確保したい」として、商品販売の最前線となる店舗との連携も視野に入れながら、取り組みをはかる。特に海外旅行ではダイナミックパッケージの展開、国内ではフリープラン型の掲載を拡大するほか、間際の廉価商品の掲載を積極化することで誘導をはかる。また、ビジネストラベルでは日旅アメックス、エルオルト、エムハートツーリストなどグループ内のBTM企業と日本旅行の連携を強化する。ただし、提供する企業毎にシステム開発をしている改修費用などコスト面での課題も多いが、出張なびの機能強化などにより、JTBビジネストラベルソリューションズとJTBグループの2006年の取扱額とされる「約1000億円に拮抗できる形をつくりたい」(金井社長)という。
基幹分野では、引き続き直営店舗の活用が課題。上記のインターネットとの連動のほか、日本旅行、日旅サービス、日本旅行オーエムシートラベル、日本旅行北海道など地域の総合店舗については2008年度に13店舗について整理し、ショップ内店舗を中心に新たに4店舗を開設し、絞込みを進める。
なお、組織はこれまで本社の営業企画本部と各地域の営業本部の体制であったが、2月1日付けで基幹分野である営業企画本部内として新たに地域振興室、特定マーケット営業推進室を新設、成長分野にはICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)事業本部としてBTMチーム、インターネット販売関連各チームを置く。
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