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JTB、ツムラーレ買収で欧州域内での規模拡大−5年で倍をめどに展開

  • 2007年12月4日
 ジェイティービーは北欧のランドオペレーターのツムラーレの買収を発表したが、旅行事業本部国際企画チーム・グローバル戦略担当部長の野沢肇氏は今後、JTBが欧州での独立した事業を展開する上で、必要不可欠な策との考えを示した。同氏によると、ツムラーレの現在の取扱は日本発の需要が約6割、その他の日本人以外は4割を占めており、JTBとの取引シェアも大きくはない。このため、JTB代表取締役社長の佐々木隆氏が先日明らかにしている欧州での持株会社構想を進める上でも、北欧を主力として事業を展開するツムラーレが、東南アジア、南米等に販売代理店網を築いており、こうした集客力を活用して、JTBとして欧州域内でのオペレーターをはじめとするビジネス展開で強みとなるという。

 このツムラーレの親会社となるJTBグループの会社が、Travel Plaza, B.V.(TPヨーロッパ)。ヨーロッパでは各国に企業を置いているため、数十社がこの傘下に置かれる体制となるが、オランダに本社を置くTPヨーロッパが欧州域内での投資活動を統括し、新たに設立する本社では常勤する約15名のスタッフ、TPヨーロッパ傘下各社の社長で構成する非常勤の人員で、事業戦略、システム開発の方向性、各社の連携を決定していくという。現時点で、日本発の欧州需要はルック、メディア商品、団体、TPIなどを含め発券ベースで約45万人、欧州でのオペレーションはJTBヨーロッパ、ツムラーレを合わせ40万人弱ほどという。佐々木社長はこれについて、「100万人をめざしたい」と表明しているが、これについて野沢氏も「ツムラーレが持つ世界各地でのGSA機能、新たに展開するウェブ販売、JTB海外支店からの欧州への需要などを取り込んでいきたい」として、人員、販売計画などは「決まっているものはない」と留めたものの、仕入力の強化という観点から、「5年で倍の送客」が目標ラインであるとの考えを示した。

 JTBは中国での事業を統括する会社に加え、韓国ではロッテとの合弁事業を展開しており、グローバル戦略を加速しているところ。ただし、欧州については、ツムラーレとJTBヨーロッパで販売網、オペレーションのための需要はすでに確保できており、今後は欧州発の需要をどこまで伸ばせるかポイントとなる。欧州発の需要取り込みについては、ツムラーレが既に手がけており、JTBグループが分社化して、グループ内で自由な競争をしている環境下にあるものの、こうしたネットワークを使えるメリットも大いにある。これにより、これまでの日本発の需要への対応だけでなく、絶対数の増加が見込まれる世界各地から欧州への需要や、欧州、特に北欧、中欧、東欧発の需要についても取扱を広げていくねらいだ。


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