北ドイツのクリスマス、ハンザ都市のパワーと伝統がつくる魅力

  • 2007年10月25日
北ドイツのクリスマスマーケット
−ハンザ都市のパワーと伝統がつくる魅力



ドイツのクリスマスマーケットの醍醐味は、純粋に「見る」「食べる」「買う」「聞く」ことにある。独特のかわいらしい雰囲気を見ながらグリューワインを味わい、エンターテイメントや賑やかな雑音に耳を傾けながら、屋台で売られるオーナメントなどのショッピングをすれば、簡単に現地に溶け込める。従来のクリスマスマーケット・ツアーは「ドレスデン」「ニュールンベルク」「シュツットガルト」など中・南部地域が多かったが、今回は北ドイツを紹介。かつてハンザ都市で栄えた都市ならではのユニークな体験ができるはずだ。


ハンブルグ
 −エンターテイメントとショッピング街のおしゃれな雰囲気


「ハンブルグの真珠」と呼ばれるアルスター湖の周辺にクリスマスツリーが登場すると、ハンブルグにホリデイシーズンが到来した合図。これを皮切りに、街の中心部のあちこちに5つの市が立つ。特に有名なのは市庁舎前広場のマーケット。「ロンカリ」という人気のサーカス団が主催しているだけに、サーカスやコンサートが行われるほか、頭上をトナカイとサンタクロースの人形が空をかけるような演出もあり、エンターテイメント性に富んでいる。

もう一つ注目したいのが、ハンザ同盟の中心地として栄えた歴史がかもし出す洗練された雰囲気。ハンブルグは多数の高級ブランドが軒を連ねる「ショッピング」の街でもあり、マーケットに出るスタンドも厳選している。このため、革製品やろうそくなど、手作りのレベルの高い品々を求めることができる。

期間:2007年11月26日〜12月23日
時間:毎日10時〜20時
ハンブルグ観光局
 http://www.hamburg-tourism.de/Weihnachtsmarkt_Hamb.1197.0.html


リューベック
 −350年の歴史。「ハンザの女王」の気品漂う、昔ながらの姿が魅力


古くから栄え、「ハンザの女王」と呼ばれたリューベックは、クリスマスマーケットも350年の歴史を誇る。3つ開催されるマーケットすべてが、世界遺産の旧市街で行なわれるのもリューベックならでは。そのうちの「歴史クリスマスマーケット」では中世の衣服を身にまとった店員が出迎えてくれ、まさに「ギルド」を彷彿とさせる伝統的な雰囲気だ。

また、1280年ごろに建てられた聖霊養老院で開催される「職人マーケット」は必見。普段はエントランスまでしか入られない聖霊養老院の内部見学も楽しめるのだ。重厚な雰囲気の中で、絵画やクリスタルなど、他のクリスマスマーケットでは見られない品々が並ぶのも面白い。リューベックでは12月7日から1月27日まで、国際氷の彫刻フェスティバル「アイスワールド」も開催されるので、クリスマスマーケットともに訪れたい。

期間:2007年11月26日〜12月23日
時間:毎日11時〜20時
 ※聖霊養老院のでの職人マーケット:11月30日〜12月10日
 ※聖ペトリ教会での職人マーケット:11月28日〜12月26日
リューベック http://www.luebeck-tourismus.de/


ロストック
 −北ドイツで最大にして最も美しいマーケット


北ドイツ最大規模で最も美しいクリスマスマーケットとして有名なロストックは、バルト海沿いの都市らしく、海とマッチさせた演出が印象的。例えばマーケットの初日には、サンタクロースがトナカイではなく、海から船に乗ってやってくることも。ただし、サンタの乗り物や登場の仕方は都市によって変わり、それが現地の人々の楽しみの一つとなっている。

マーケットは歩行者天国を中心に、200ほどのスタンドが立ち並び、飲食類や工芸品、北部原産の木を使った素朴なオーナメントなどが販売される。街自体に若者が多いため、活気があるのも特徴で、漁師広場周辺の移動遊園地も充実している。クリスマスをテーマにした市内ガイドツアーやマーケット散策、料理を盛り込んだ便利な1日パッケージもある。

期間:2007年11月22日〜12月22日
時間:月〜木/10時〜20時、金・土/10時〜21時、
    日/11時〜20時
 ※11月25日は休み
ロストック http://www.rostocker-weihnachtsmarkt.de/index1.php



クリスマスマーケット商品の期待と課題

クリスマスマーケットをテーマにしたツアーが出回るよ
うになってから、約10年。その間、ドイツを中心に、フ
ランスやスイス、北欧諸国など、ツアーの行き先が広が
ってきた。市場のニーズとリピーターへの対応のみなら
ず、冬期のヨーロッパへの送客をさらに拡大させたいと
ねらう、旅行会社の努力の表れだろう。

日本でクリスマスマーケット・ツアーの目的地の先駆け
となったドイツでは、3大マーケットと謳われる「ドレ
スデン」「ニュールンベルク」「シュツットガルト」か
ら、各地に拡充。特に新しい方面として北ドイツの注目
が高まっている。マーケットは各町ごとに雰囲気や仕掛
けが異なるが、北ドイツはハンザ都市として繁栄したた
め市民主体の街が多く、マーケットにも市民が先導する
力強さが反映されている。そのため特に個性が強いとい
われている。旅行会社の取り組みも見られ、阪神航空フ
レンドツアーでは今年、「北ドイツのメルヘンクリスマ
ス8日間」を造成。12月に3本を催行する予定で、既に
完売したという。

クリスマスマーケットはドイツ旅行にも影響を与え、初
めてのドイツ旅行で冬期を選択する人が増加。“ロマン
チック街道に集中していた”ドイツ観光に広がりを持た
せた。ただし、クリスマスマーケットを巡る日本市場の
動きは、SARSなどで日本人の海外旅行者数が落ち込んだ
2003年でも増加するほど手堅いものの、06年はピークだった05年の10万2400人(ドイツ
観光局・推測値)の7.8%減と減少している。集客力のある素材であるだけに、周辺の都
市・国との組み合わせでバラエティを増やすなどで質を保ち、今後もオフシーズンの重要
素材として大切に扱っていきたいものだ。