英国政府観光庁、英国式幸福論から発展へ−訪問者減は底打ち

  • 2007年10月17日
 英国政府観光庁(Visit Britain:VB)アジア・太平洋地区ジェネラル・マネージャーのキース・ビーチャム氏(写真、右)は来年以降の「英国式幸福論」キャンペーンについて、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドとUKを形成する主要な「国」を紹介する方針を示した。英国式幸福論は、旅行業界やそれ以外の英国関連企業と共同でプロモーション展開。「年々、パートナー企業が増え、プロモーションそのものの『声』が大きくなっている」と評価。来年3月末までの3年間は種まきの期間であるとの考えから、今後は「パブ、列車、ゴルフなど団塊世代が『憧れ』た体験、文化を紹介しながら、誘致を図る」考え。また、訪問者の動向について、グラスゴーでの事件前までと限定しつつ「順調に増加している」と語り、訪問者の傾向が底を打ったとの考えも示した。

 また、2012年にはロンドン・オリンピックが開催されるが、2010年ごろにはテニス、ゴルフ、フットボール、クリケットなどスポーツの発祥、ルールの原点であるルーツを紹介することも計画。来年は大使館が開催する「UK Japan2008」で芸術、文化、クリエイティブ、科学の分野で創造性をアピールするイベント、欧州文化首都リバプールと共にプロモーションをはかり、英国の各「国」をアピールし、ロンドン・オリンピックへとつなげていく。


▽日本と中国は市場に求めるものが異なる

 日本市場の重要度の低下が指摘されるが、ビーチャム氏はこうした意見に対し、「市場の特性が異なる」という。「中国は3スターにグループでパッケージ式だが、日本は4スター、FIT、さらに市場全体が成熟している」とコメント。例えば、日本で定着してきたコッツウォルズは「中国ではまだ早い」と市場特性が違うことから、英国でのサプライヤーのニーズも勘案し、日本、中国で異なる提案により、「双方の市場が伸びる形を模索する」という。

 また、日本と中国を比べ「日本の市場規模は中国の3倍程度」で、今後は規模の差は縮小するものの、5年程度は日本の規模が上回るとの考え。さらに、来年からの「新たな展開で地方を打ち出し、英国の歴史、文化、カントリー、現代都市の多様性を打ち出せるのは成熟市場の日本ならでは」と評した。