ハワイ、送客増に向け新たな体制作りへ−ハワイ固有とグローバルの課題指摘
日米観光交流促進ワーキンググループ(WG)のハワイサブコミッティーが発展的に解消され、新たに「日本・ハワイツーリズムサミット」(仮称)として実益を追う民間主導の議論を行う場が作られることが提案された。日米WGのハワイサブコミッティーが9月18日、東京で開催され、ハワイ州観光局、旅行会社、航空会社、ホテル等のサプライヤーが出席した中で、日本旅行業協会(JATA)事務局長の奥山隆哉氏が提案した。2002年4月に日米で観光交流の拡大に関する覚書(MOU)が締結されたことを受け、日米観光交流促進WGが発足し、アメリカ本土、グアム、ハワイで各地がそれぞれより詳細な議論を続けてきたが、MOUが今年4月に失効し、日本ハワイ経済協議会も来月には観光分野での議論も解消する方向で、これに変わる枠組みが求められていた。
18日に開催されたWGでは、JATAが提案した7つの観光促進策として、(1)量から質への転換、(2)滞在日数の増加、(3)チャーター便の活用、(4)世代・形態別のマーケットへのアプローチ、(5)日本人向けロングステイ・プログラムの開発と紹介、(6)教育プログラムの開発と修学旅行誘致の特別施策、(7)ハワイ・スペシャリストの育成強化について分科会を開催して個別具体的に方向性を検討することも提案された。ただし、提案された会の方向などについては、来月にも開催される日本ハワイ経済協議会で、具体的に枠組みなどを決定していく。
▽ハワイの課題?旅行業界全体の課題?
開催されたワーキンググループでは、現在のハワイへのツアー造成上の課題について、旅行各社から意見が出された。例えば、ツアー初日は日本とハワイの時差から参加者の負担を軽減するため、「空港からいかに助けるか」(JTBワールドバケーションズ代表取締役専務・馬場和彦氏)を念頭に、工夫していることを言及。また、帰国時についてもバゲージダウンは「お客様の都合のいいようになっているか」や、ホノルル空港でのバゲージチェックで長蛇の列になることが指摘された。バゲージの長蛇の列は、今後の空港改修により、改善が期待できるものの、「お客様の都合の良いように・・・」というサービス面についてはハワイツーリズムオーソリティ(HTA)レックス・ジョンソン氏が「日本のサービスは世界一」とし、この部分が追いつくのは時間がかかるものの、「アロハスピリット」で歓迎する考えを示した。
また、ホテルの客室供給について、特に隣島については「本土の需要が伸びると日本(向け)は減少し、日本マーケット(の送客)はいらないのか」(JTBWV・馬場氏)や、「ホテルがデラックスやラグジュアリーになっているというが、リメークした程度。需要が高くなり、価格を高めており、お客様は本当にホテルが良いと思っているかといえば違う。ひとつのキーポイントはバス、シャワーが別の客室がいくつあるか」(アールアンドシーツアーズ・ハワイ・アメリカ部長の上原正嗣氏)と指摘された。
これに対し、ホテル側からは「(韓国は)日本がハワイを開発したときと同じ勢いで伸びている。アメリカを優遇しているわけではなく、『日本だからよろしく』という優遇された契約は厳しい」(フォーシーズンズホテルアンドリゾート日本地区統括部長の小林宏明氏)と各国の旅行動向と関連した指摘が挙げられた。これは先ごろのJATA国際会議でも議論されたポイントの一つだが、ハワイに限らず、日本式の客室ブロックの形式が世界的に通用しなくなってきた環境で、これまでと異なる対応が求められている流れが強くなってきており、ハワイもその例外ではないのだろう。
その一方、デスティネーション競争で日本の消費者がアジアなどに目を向けていることに関しては、アジアのホテルでのデラックス、ラグジュアリー・タイプのホテルはツアー価格としてもコストパフォーマンスが高いことはHTAをはじめ、ハワイ側が認めるところ。「バジェット・タイプはどこが拾うのか」(近畿日本ツーリスト海外旅行部部長の權田昌一氏)や、「滞在日数を増やすため、タイムシェアよりホテルを使いたいが、朝食が高い」(JTBWV・馬場氏)などの指摘も重要で、こうした具体案から合意できる点について施策をとることが、ハワイへの訪問者数の増加に繋がる道筋と思われる。特に、各ホテルは既に一定の投資でリノベーションを進めており、さらなる投資は時間的に先になることが想定される。このため、ひとつ一つの精査は必要だが、送客数と客室ブロックの運用、価格面を合わせ、各社の契約事項であるが、互いに譲れる優先項目をつけた軟着陸すると同時に、業界での共同歩調も求めたいところ。
共同歩調という点では、販売する現場にいる担当者への「ハワイの理解度」についてもサプライヤーから「昔と比べると(ハワイに)行かれている人が少ない」(アウトリガー・エンタープライズ・グループ日本地区代表営業本部長の小峯韶子氏)ともコメントされたが、ハワイ州観光局(HTJ)が独自にeラーニングを実施していることを推進することも対応策の一つだろう。教育プログラムの推進は、旅行会社のスタッフへの投資に変えることも可能で、増売できるならば、サプライヤー側、旅行会社側、そしてHTAやHTJの三者が目的を達成できる。eラーニングと増売施策の検討とあわせ、従来のセミナーの開催と共に、販売現場の担当者にハワイを訪問して、販売に役立てる生の体験を得てもらうことにも互いに努力する必要があるだろう。
▽関連記事
◆航空座席流通、ブロックやゼロコミッションなど変化は不可避−JATA国際会議(2007.09.18)
◆日本の旅行業界の商習慣、グローバル化に対応を−対等関係が原則(2007.09.18)
◆ハワイ・フォーカス・セッション採録、ハワイ旅行活性化に向けて(2007.06.19)
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▽ハワイの課題?旅行業界全体の課題?
開催されたワーキンググループでは、現在のハワイへのツアー造成上の課題について、旅行各社から意見が出された。例えば、ツアー初日は日本とハワイの時差から参加者の負担を軽減するため、「空港からいかに助けるか」(JTBワールドバケーションズ代表取締役専務・馬場和彦氏)を念頭に、工夫していることを言及。また、帰国時についてもバゲージダウンは「お客様の都合のいいようになっているか」や、ホノルル空港でのバゲージチェックで長蛇の列になることが指摘された。バゲージの長蛇の列は、今後の空港改修により、改善が期待できるものの、「お客様の都合の良いように・・・」というサービス面についてはハワイツーリズムオーソリティ(HTA)レックス・ジョンソン氏が「日本のサービスは世界一」とし、この部分が追いつくのは時間がかかるものの、「アロハスピリット」で歓迎する考えを示した。
また、ホテルの客室供給について、特に隣島については「本土の需要が伸びると日本(向け)は減少し、日本マーケット(の送客)はいらないのか」(JTBWV・馬場氏)や、「ホテルがデラックスやラグジュアリーになっているというが、リメークした程度。需要が高くなり、価格を高めており、お客様は本当にホテルが良いと思っているかといえば違う。ひとつのキーポイントはバス、シャワーが別の客室がいくつあるか」(アールアンドシーツアーズ・ハワイ・アメリカ部長の上原正嗣氏)と指摘された。
これに対し、ホテル側からは「(韓国は)日本がハワイを開発したときと同じ勢いで伸びている。アメリカを優遇しているわけではなく、『日本だからよろしく』という優遇された契約は厳しい」(フォーシーズンズホテルアンドリゾート日本地区統括部長の小林宏明氏)と各国の旅行動向と関連した指摘が挙げられた。これは先ごろのJATA国際会議でも議論されたポイントの一つだが、ハワイに限らず、日本式の客室ブロックの形式が世界的に通用しなくなってきた環境で、これまでと異なる対応が求められている流れが強くなってきており、ハワイもその例外ではないのだろう。
その一方、デスティネーション競争で日本の消費者がアジアなどに目を向けていることに関しては、アジアのホテルでのデラックス、ラグジュアリー・タイプのホテルはツアー価格としてもコストパフォーマンスが高いことはHTAをはじめ、ハワイ側が認めるところ。「バジェット・タイプはどこが拾うのか」(近畿日本ツーリスト海外旅行部部長の權田昌一氏)や、「滞在日数を増やすため、タイムシェアよりホテルを使いたいが、朝食が高い」(JTBWV・馬場氏)などの指摘も重要で、こうした具体案から合意できる点について施策をとることが、ハワイへの訪問者数の増加に繋がる道筋と思われる。特に、各ホテルは既に一定の投資でリノベーションを進めており、さらなる投資は時間的に先になることが想定される。このため、ひとつ一つの精査は必要だが、送客数と客室ブロックの運用、価格面を合わせ、各社の契約事項であるが、互いに譲れる優先項目をつけた軟着陸すると同時に、業界での共同歩調も求めたいところ。
共同歩調という点では、販売する現場にいる担当者への「ハワイの理解度」についてもサプライヤーから「昔と比べると(ハワイに)行かれている人が少ない」(アウトリガー・エンタープライズ・グループ日本地区代表営業本部長の小峯韶子氏)ともコメントされたが、ハワイ州観光局(HTJ)が独自にeラーニングを実施していることを推進することも対応策の一つだろう。教育プログラムの推進は、旅行会社のスタッフへの投資に変えることも可能で、増売できるならば、サプライヤー側、旅行会社側、そしてHTAやHTJの三者が目的を達成できる。eラーニングと増売施策の検討とあわせ、従来のセミナーの開催と共に、販売現場の担当者にハワイを訪問して、販売に役立てる生の体験を得てもらうことにも互いに努力する必要があるだろう。
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