JTB、スロヴェニアの観光局日本支局業務を受託−認知度向上が第一歩

  • 2007年9月14日
 JTB法人東京はこのほど、スロヴェニア観光局と日本支局の業務委託の契約を締結、2008年から活動を開始する。JTB法人東京代表取締役社長の浅川徹氏ら9月13日に会見し、活動の第一歩として「スロヴェニアの認知度向上を目指す」などの方針を示すとともに、「公平性を保ちつつ送客につながる商品の造成も目指す」と意欲を見せた。

 スロヴェニアは、人口の10%が観光業に従事。今年1月から7月まで、総訪問者数が前年比8%増の150万人、宿泊数は460万泊となっている。日本人訪問者数は2006年が64%増の1万9880人。スロヴェニア共和国大使のミラン・スケンデル氏によると、同国は「緑の宝庫」で、世界遺産の鍾乳洞や海岸などの自然、中世の歴史を感じさせる城なども観光資源として集客に効果をあげている。浅川氏は「素晴らしさを伝えればもっと増やせる」と語り、認知度向上に積極的に取り組む姿勢を示した。具体的には、「一般向けにウェブサイトやパンフレットなど、目に触れるものを充実する」ほか、「業界向けには研修旅行やセミナーなどを実施し、最新情報を適切に提供」(JTB法人東京コミュニケーション事業部事業部長の市川正資氏)していく。

 なお、2008年の業務開始に先駆け、キャッチフレーズは「I FEEL SLOVENIA」に決定し、JATA旅行博のブースでのピーアールとプロモーションにJTB法人東京が協力。また、スロヴェニア観光局局長のディミトリ・ピツィガ氏は、「直行便の就航に向け、いくつかの航空会社と交渉している。チャーター、定期便のいずれかの形で、来年の夏までには実現したい」と語れば、市川氏も「JTBとして働きかけていく」としている。


▽観光局運営は、旅行会社としての強み活かし事業化目指す

 なお、JTB法人東京では今回の事業展開について、「旅行本体だけでは難しくなってきており、収益の多様化の一環」としている。旅行事業へのシナジー効果を主目的とはせず、単体での収益確保を目指す。広告代理店と競合するモデルに対し、市川氏は「観光局の狙いは旅行客を送ること。旅行会社であれば、業務に連続性を持って送客に繋げられる」と強みを語る。ただし、事業性を考慮すると、「まず、5ヶ国程度の国に取り組むことが必要」で、ラトビアやスペインの地方自治体など現在交渉中の案件を含めて、2008年中には契約に結び付けたい考え。

 スロヴェニア観光局の場合、運営体制としてはコミュニケーション事業部の中に局長と2人から3人程度のスタッフを配置する予定。スタッフが専従となるか否かは「予算次第」だが、「観光局として業界全体に公平に最新の情報を提供する」(市川氏)。また、オフィス内に一般向けのカウンターなどを設ける予定はないが、資料提供は郵送などで対応する。