トップインタビュー:ノースウエスト航空日本支社長 ジェフリー・S・バーニアー氏
顧客に学び、改善し、Win-Winの関係へ
価格訴求だけでなく、付加価値やコンサルティング力も重要
ノースウエスト航空(NW)日本支社長に6月から就任したジェフリー・S・バーニアー氏が日本での市場展開などについて語った。日本路線を含む8月の太平洋路線は90.5%で、全世界のロードファクターも高い搭乗率を記録。イールドマネジメントも成功しているという考えで、「高いイールドも維持している」ともコメント。日本での外国航空会社として最も供給座席数を誇る同社の営業戦略やバーニアー氏自身の抱負を聞いた。
−日本支社長としての抱負をお聞かせください
ジェフリー・S・バーニアー氏(以下、バーニアー) 大きく5つの目標がある。まず、日本市場での存在感を高めること。特に外航として最大のプレゼンスがあり、これを高めていくこと。今年は日本就航60周年でもあり、北米と日本を結ぶ航路の歴史は長く、旅行業界や旅行会社、消費者など顧客から学んできたものは多い。顧客は何を望んでいるか、これを満たしていくことが重要だ。
第2に、顧客ニーズに応えていくため、提供するサービスの品質は常に改良を加え、高めていく。今年は成田空港のラウンジを開設し、新たにエアバスA330型機を導入している。新型機材はフラットシートのビジネスクラスで、エコノミークラスでもVOD(ビデオ・オン・デマンド)を採用した。アメリカ本土には日本語のグリーティングサービスなどVIPや企業向けサービスを拡充。さらに、機内食でも顧客の意見を取り入れながら、和食、洋食とも、改善を加えた。空港でのキオスクとnwa.comでのオンラインチェックインと100%インターライン化にも近づき、機内に搭乗する前のサービスも拡充しているところだ。
さらに、こうした改良、改善を消費者と共に、旅行会社や企業と情報を共有し、「Win-Win」の関係を作っていく。情報を交換することで、改善を要することがさらに明確になり、互いにより良い関係になっていく。消費者にとっては心地よい体験(Experience)となり、リピーターになる。
これらの目標を実現するために重要なことは、日本をはじめ全世界のNWの従業員と戦略を共有していくことだ。働きやすい環境を提供することで、顧客を楽しませる体験を提供し、充実したサービスを提供することにつながり、顧客の意見を受けることができる。先ごろ、プロフィット・シェアリング・プログラムを導入し、会社と従業員で利益を共有する仕組みを導入している。また、スカイチームのパートナーと共にグローバルで幅広いネットワークとサービスを提供すると共に、ローカルの市場にあわせた対応もしていく。
−市場動向はどのように見ているか
バーニアー 日本のアウトバウンドは全体の動向として横ばいになっている。ただし、企業需要や、質の高いサービスを求めるレジャー需要など伸びているセグメントもある。特に、ビジネスクラスを利用するようなレジャーマーケットにどのように対応していくか、今後の焦点となるだろう。
日本市場はノースウエスト航空にとって鍵となる市場のひとつであり、太平洋路線は伸びていくと考えている。ただし、大きな変化としてグローバルの競争が激しくなっており、日本市場が課題として抱えるものが増えていることに、旅行会社、航空会社がともに対応していく必要がある。
日本路線、全世界ともロードファクターは高い。また、この搭乗率に支えられ、高いイールドを保っている。ただし、供給量を減らしているリゾートマーケットは弱含みで推移している。これまでの供給量が多すぎたことが課題であったが、航空各社が調整をしており、適正な量になってきているのではないか。この点ではアジア、特に中国は日本発の需要は旺盛であるが、供給量全体を見ていかなければならない。これはリゾート路線とも同様で、マーケットとして収益を得る適正な規模を見定めていくことだ。
12月21日から、関西/サイパン線を就航し、レジャー路線の供給も増やしていくことは既に発表したとおりだ。NWとしては常に拡大を考えており、これは日本を重要な市場と認識しているためでもある。
−運賃施策についての考えは
バーニアー 旅行会社とは引き続き協力をしていきたいが、最も重要なことは、消費者が何を求めているかだ。周遊運賃やPEX運賃など、顧客は透明性を求めていると思われる。時にIT運賃がPEX運賃より高いことも発生するだろうが、旅行会社と協力して、消費者に付加価値を提供し、価格だけで訴求するのではなく、様々な情報と共に、適正な価格で提供していきたい。透明性とコンサルティング力を合わせ持つことが、レジャー市場では特に重要なポイントになっていくだろう。
−トラベルポートによるワールドスパン買収の影響は
バーニアー ワールドスパンは日本でもプレゼンスが高く、多くのツールを(旅行会社に)提供している。今後はトラベルポートの後押しにより、日本でも大きくなっていくだろう。その一方で、GDSではワールドスパンとアポロは競争相手でもある。現在、ワールドスパンはノースウエスト航空に最も良い価値を提供しており、流通を効率化していくことで重要な役割を果たしている。
−羽田が国際化されていく。私見などをお聞かせください
バーニアー 羽田については多くの問題があり、実はネガティブな側面もある。「羽田=国内、成田=国際」という大枠のルールを政府には維持してもらいたい。これを変更する資金や時間があるならば、同じものを成田に投資すれば、もっと成田は快適になるはず。日本の航空会社しか選択できない羽田はコスト面からも良くないと思う。成田の2本の滑走路が同時に離発着できるならば、発着数の拡大も見込め、快適性や成田のハブ機能も高まる。
価格訴求だけでなく、付加価値やコンサルティング力も重要
ノースウエスト航空(NW)日本支社長に6月から就任したジェフリー・S・バーニアー氏が日本での市場展開などについて語った。日本路線を含む8月の太平洋路線は90.5%で、全世界のロードファクターも高い搭乗率を記録。イールドマネジメントも成功しているという考えで、「高いイールドも維持している」ともコメント。日本での外国航空会社として最も供給座席数を誇る同社の営業戦略やバーニアー氏自身の抱負を聞いた。
−日本支社長としての抱負をお聞かせください
ジェフリー・S・バーニアー氏(以下、バーニアー) 大きく5つの目標がある。まず、日本市場での存在感を高めること。特に外航として最大のプレゼンスがあり、これを高めていくこと。今年は日本就航60周年でもあり、北米と日本を結ぶ航路の歴史は長く、旅行業界や旅行会社、消費者など顧客から学んできたものは多い。顧客は何を望んでいるか、これを満たしていくことが重要だ。
第2に、顧客ニーズに応えていくため、提供するサービスの品質は常に改良を加え、高めていく。今年は成田空港のラウンジを開設し、新たにエアバスA330型機を導入している。新型機材はフラットシートのビジネスクラスで、エコノミークラスでもVOD(ビデオ・オン・デマンド)を採用した。アメリカ本土には日本語のグリーティングサービスなどVIPや企業向けサービスを拡充。さらに、機内食でも顧客の意見を取り入れながら、和食、洋食とも、改善を加えた。空港でのキオスクとnwa.comでのオンラインチェックインと100%インターライン化にも近づき、機内に搭乗する前のサービスも拡充しているところだ。
さらに、こうした改良、改善を消費者と共に、旅行会社や企業と情報を共有し、「Win-Win」の関係を作っていく。情報を交換することで、改善を要することがさらに明確になり、互いにより良い関係になっていく。消費者にとっては心地よい体験(Experience)となり、リピーターになる。
これらの目標を実現するために重要なことは、日本をはじめ全世界のNWの従業員と戦略を共有していくことだ。働きやすい環境を提供することで、顧客を楽しませる体験を提供し、充実したサービスを提供することにつながり、顧客の意見を受けることができる。先ごろ、プロフィット・シェアリング・プログラムを導入し、会社と従業員で利益を共有する仕組みを導入している。また、スカイチームのパートナーと共にグローバルで幅広いネットワークとサービスを提供すると共に、ローカルの市場にあわせた対応もしていく。
−市場動向はどのように見ているか
バーニアー 日本のアウトバウンドは全体の動向として横ばいになっている。ただし、企業需要や、質の高いサービスを求めるレジャー需要など伸びているセグメントもある。特に、ビジネスクラスを利用するようなレジャーマーケットにどのように対応していくか、今後の焦点となるだろう。
日本市場はノースウエスト航空にとって鍵となる市場のひとつであり、太平洋路線は伸びていくと考えている。ただし、大きな変化としてグローバルの競争が激しくなっており、日本市場が課題として抱えるものが増えていることに、旅行会社、航空会社がともに対応していく必要がある。
日本路線、全世界ともロードファクターは高い。また、この搭乗率に支えられ、高いイールドを保っている。ただし、供給量を減らしているリゾートマーケットは弱含みで推移している。これまでの供給量が多すぎたことが課題であったが、航空各社が調整をしており、適正な量になってきているのではないか。この点ではアジア、特に中国は日本発の需要は旺盛であるが、供給量全体を見ていかなければならない。これはリゾート路線とも同様で、マーケットとして収益を得る適正な規模を見定めていくことだ。
12月21日から、関西/サイパン線を就航し、レジャー路線の供給も増やしていくことは既に発表したとおりだ。NWとしては常に拡大を考えており、これは日本を重要な市場と認識しているためでもある。
−運賃施策についての考えは
バーニアー 旅行会社とは引き続き協力をしていきたいが、最も重要なことは、消費者が何を求めているかだ。周遊運賃やPEX運賃など、顧客は透明性を求めていると思われる。時にIT運賃がPEX運賃より高いことも発生するだろうが、旅行会社と協力して、消費者に付加価値を提供し、価格だけで訴求するのではなく、様々な情報と共に、適正な価格で提供していきたい。透明性とコンサルティング力を合わせ持つことが、レジャー市場では特に重要なポイントになっていくだろう。
−トラベルポートによるワールドスパン買収の影響は
バーニアー ワールドスパンは日本でもプレゼンスが高く、多くのツールを(旅行会社に)提供している。今後はトラベルポートの後押しにより、日本でも大きくなっていくだろう。その一方で、GDSではワールドスパンとアポロは競争相手でもある。現在、ワールドスパンはノースウエスト航空に最も良い価値を提供しており、流通を効率化していくことで重要な役割を果たしている。
−羽田が国際化されていく。私見などをお聞かせください
バーニアー 羽田については多くの問題があり、実はネガティブな側面もある。「羽田=国内、成田=国際」という大枠のルールを政府には維持してもらいたい。これを変更する資金や時間があるならば、同じものを成田に投資すれば、もっと成田は快適になるはず。日本の航空会社しか選択できない羽田はコスト面からも良くないと思う。成田の2本の滑走路が同時に離発着できるならば、発着数の拡大も見込め、快適性や成田のハブ機能も高まる。