トルコ、文化訴求の一環で「セマー」を披露−思想家メヴラーナ生誕800年で

  • 2007年8月28日
 トルコ共和国大使館は29日と30日、東京と大阪で世界無形遺産である「メヴレヴィー教団のセマーの儀式」の公演を主催する。メヴレヴィー教団のセマーの儀式とは、13世紀にトルコで活躍した思想家であり哲学者、詩人でもあるメヴラーナ・ジェラレッディン・ルーミーの思想を、旋回する踊りによって象徴的に表現したもので、2005年にユネスコが人類の口承および無形遺産として認定した。今回の公演は、ユネスコがメヴラーナ生誕800周年である2007年を「ユネスコ国際メヴラーナ年」として、世界各国で開催する記念事業の一つ。同教団は20世紀の近代化の過程で解散しており、現在はトルコ文化観光省が伝統文化の保存のために結成した「コンヤ・トルコ神秘楽団」が演奏と儀式を担当する、伝統芸能となっている。

 トルコ共和国大使館・文化広報参事官室代表のフェルダネ・オズカン・トムソン氏は、先ごろの就任に際して世界遺産などの歴史・文化のみならず、トルコならではのホスピタリティや伝統文化、体験を打ち出す方針を明かしており、「この公演もその一環といえる。文化的側面の訴求は今後も実施していく」と語った。例えば、9月のJATA旅行博のブースでは、ヨーロッパのマーブリングのルーツになったという「エブル」の紹介コーナーを設置するほか、9月以降もカッパドキアの写真展を千葉や大阪、名古屋で開催するなど、継続的なアピールを実施する考えを示した。

 また、「メヴラーナの考えを端的に表すのは非常に困難だが、根底にあるのは『相互愛』。トルコ人のホスピタリティの源泉とも言えるだろう」といい、さらにメヴラーナに縁の深い中部の都市コンヤには国内外から年間200万人が訪れていることを挙げ、メヴラーナやセマーの儀式を観光素材としても紹介していく考えを述べた。コンヤでは毎週末の夜にセマーの儀式を無料で上演しているほか、12月1日からメヴラーナの命日である17日までの期間には毎年10以上のイベントを開催しているという。