南オーストラリア州、商品ラインナップに広がり、各社から個性的商品販売

  • 2007年8月21日
 南オーストラリア州政府観光局はこの下期の大手ホールセール各社が造成した商品について、「団塊世代などのセグメントへの対応として市場の商品ラインナップが広くなってきており、結果として定番のコース以外にも目が向いた」と評価している。昨年の南オーストラリア州への日本人渡航者数は前年比4%増の1万5000人で、オーストラリア全体の低迷の中では健闘しており、引き続き団塊世代を意識し、多様な商品展開につなげることで需要の拡大を図りたい考えだ。

 各社のホールセール商品は、従来のアデレード、カンガルー島など定番デスティネーションを巡るコースだけでなく、それぞれ独自性のあるものとなった。例えば日本旅行は「大人の旅」と題して、車や船を自ら運転、また鉄道に乗って移動するなど、オーストラリアの大きさを体感できる商品。ジャルパックはワインをテーマにワイナリー巡りのほか、「ブレンド・ユア・ワイン」として、自分だけのワインをブレンドできるプログラムを設定。またジェイティービーは、ライムストーンコーストを訪れるコースをルックJTBのメインパンフレットの中で紹介しているほか、エアー半島をポートリンカーンから北上し、滋賀県ほどの大きさの塩湖やアシカとの遊泳などの体験をできるコースを造成した。

 特にエアー半島のコースに関連し、現地のネイチャーツアーを提供するガウラーレンジ・ワイルダネスサファリ社社長のジェフ・ショルツ氏が来日、魅力をアピールした。ガウラーレンジ社は、塩湖での幻想的な夕焼けやアウトバックのなかのテントでの宿泊、また数多くの動植物を見て、アシカやイルカと遊泳することができる2泊3日のネイチャーツアーを提供している。ガウラー氏によると、現在このツアーはヨーロッパの国々で人気が高いといい、ガイドブック「地球の歩き方」ではこのツアーをオーストラリアの巻頭で取り上げ、旅行の多様化を捉えた構成となっている。

 宿泊場所となるカンガルナキャンプは、ガウラー氏と友人らによる手作りで、清潔感のある内装やシャワー、水洗トイレなど、快適な滞在を提供。ツアー中に観察できる動物として、数百頭規模のカンガルーやアシカ、バンドウイルカなどのほか、塩湖の周辺では146種類の鳥類が確認されており、エミューやウォンバットなどにも遭遇できる可能性がある。キャンプ地には3棟のテントを所有しており、1棟につき4名の宿泊が可能だ。現在もう1棟を建設中で、こちらはガイドやFIT用という位置づけ。この地域に他に宿泊施設はなく、「我々のみが提供できる体験」という。

 また現在、ガウラーレンジ社のツアーは2泊3日のものと3泊4日のものがあり、「4日間あればより満喫できるが、3日間は時間的にもバランスが良い」という。ガウラー氏は「ヨーロッパでも10年ほどかけて、地道に集客数を増やしていった」と語り、日本でも時間をかけて同様に需要を喚起していく考えを示した。