ロサンゼルス、07/08年度の方針決定−日本市場の伸びは「以遠権」に期待

  • 2007年8月13日
 ロサンゼルス観光局・ロサンゼルス国際空港(LACVB)は2007年/08年度のプロモーション概要を決定、「see my LA」キャンペーンを中心に日本でのプロモーション活動を展開する。ロサンゼルス市は2002年から著名人を起用したプロモーションを展開してきており、「セレブの街」としてのイメージを定着させると共に、今年度は「Dine LA」、「Culture LA」などで食や文化面についても広がりを持たせたい考え。

 「see my LA」ではこれまで約1万件のアクセスがあったことから、引き続きこれを中心としたオープン懸賞を実施。また、「Dine LA」では、約1400軒のレストランを地域、料理のスタイル、雰囲気で選び出しているが、アメリカ本局で既に提供している情報を日本語化するなどのほか、実際に訪れた人に対してアンケートを得るなどして、「日本人が好むベスト10」などとして取りまとめることを検討。旅行会社にはパッケージ商品に組み込んでもらうようアプローチを進めるほか、メディアにも紹介をしていく。また、文化も「Culture LA」としているが、「芸術に出会う街」として日本語での冊子を制作。こうしたテーマで団塊世代の関心をしくことができるとしており、これについてもオープン懸賞などを組み合わせてアピールする。

 また、アメリカ全体で取り組むフライ&ドライブについても「Ride Around LA」として取り組んでいく。これはレンタカーを利用し、点から面の旅行をしてもらう取組みだが、さらに踏み込んで、公共交通機関を利用した「面」の旅行も紹介していく。例えば、「Metro」カードを利用すると地下鉄やバスの利用ができることから、現在、パッケージツアーに組み込みができるよう事前購入についても交渉を進めているという。

 今年はロサンゼルスの大規模開発プロジェクトの第1弾が開業する年でもある。ステイプルズ・センター北のエリア一帯の開発の「LA Live」だが、ノキア・シアター、ノキア・プラザがその第1弾として10月にオープンする。来年にはESPNスタジオ&オフィス、ESPNゾーン、グラミー博物館などがオープン、2009年後半にはJWマリオット・ホテル、リッツ・カールトン・ホテルなどがオープンする予定となっている。


▽追い上げられる日本市場−期待は「以遠権」

 ロサンゼルスへの日本人訪問者は、アメリカ全体への訪問者と同様に芳しくはない。先ごろ、日本航空(JL)が成田/ロサンゼルス線を週8便から週7便へと減便を発表。今年1月から5月の到着者数(ロサンゼルスでの日本人入国者数)は前年比10%減となっており、昨年10月のJLの減便の影響が残る中、また当分の間はこうした前年比減を記録する可能性が高い。一方で、アメリカのビザ・ウェイバーの対象国・地域に韓国、台湾が加わることが明らかになり、この2市場の伸びは期待される。韓国はカナダでビザ緩和策が打ち出された際に前年比80%増という増加を示したこともあるだけに、アメリカ側では期待が高いようだ。

 また、オーストラリアも経済の好調さを背景に入国者数が伸びている。日本人が33万2000人のところ、オーストラリアは30万9000人と年間での訪問者数が肉薄。オーストラリア発は今年4%増を推移しており、上向き傾向に加えて、カンタス航空(QF)がシドニー/ロサンゼルス線に新型機材エアバスA380型機を導入する計画もあるという。

 ただし、LACVBアジア・パシフィック地区代表の安達正浩氏は、先ごろの日韓航空協定で合意した以遠権について、韓国側企業の活用方法に期待を示している。これは韓国の航空会社が成田以外の空港に就航、さらにアメリカ本土へと便を就航することができる権益について言及したもの。現在、大韓航空(KE)が成田経由でロサンゼルス便を運航しているが、日本を経由する便が就航することで、日本発の需要の増加に期待を示している。特に、韓国企業については、アメリカ連邦政府がビザ・ウェイバー対象国として打ち出しただけに需要を見出せるという判断はしやすい、との認識を示している。