現地レポート:ベルギー・その1

  • 2007年7月12日
ブリュージュから一歩足を伸ばして、ありのままのフランダースに出会う


フランダース地方を代表する観光地であるブリュージュは、緑の木々に縁取られた運河や水路が縦横に流れ、「水の都」と称される風光明媚な古都。中世の建築様式の歴史を今に伝える貴重な建造物が多く残された旧市街地区全体は世界遺産に登録され、ベルギーを訪れる日本人はこの街を目的にやってくる人も多い。以前は、1泊だけで通り過ぎることも多かったが、トレンドは2泊へと移行しつつある。



ボートクルーズで行く小さな町「ダム」

 ブリュージュでの滞在をより味わい深くしてくれるのが、近隣の小さな町「ダム」。ブルージュからは北東へ7キロほど。人口1万1000人の小さな町に、世界各地から年間10万人もの観光客が訪れる有数の観光地だが、まだ日本人には有名ではない。

 この町の歴史は、かつて繁栄を極めたブリュージュの外港として発展した12世紀にさかのぼる。当時の面影がゴシック様式の市庁舎や聖母教会、聖ヨハネ施療院などに残っており、2時間もあれば、徒歩でもゆったりと巡ることができる。日本人は個人旅行者が立ち寄る程度で、企画商品に組み込まれることは稀だという。しかしその素朴は、今の日本人が求めるベルギーの「穴場」とも言えるだろう。

 日本人にお勧めするもう一つの理由が、この町がミシュランの星つきレストランがあるほどのグルメタウンであること。名物のウナギは、日本のそれとは全く違うベルギー風の調理法で、煮込み料理が食べられる。いつもの醤油タレとは違う味に抵抗感がある人もいるかもしれないが、旅のアクセントとしてお勧めしたい。馴染み深い食材を現地のアレンジで味わえば、旅の土産話にも花が咲くことだろう。

 さて、この街へのアクセス方法としてお勧めしたいのが、定期船でのボートクルーズ。
のんびり進む船の両岸にはポプラ並木とともにフランダース地方らしい牧歌的な大平原が広がり、平行して走る道路でのサイクリングや釣りを楽しむ地元の人々、素朴な民家など、ありのままの「フランダース」をゆっくりと眺める時間は、旅情をいっそう掻き立てることだろう。ビールやチーズのサービスを組み込んだ50人からのチャーターもあるので、企画商品、団体ツアーなどで事前にツアーに組み込むことも可能だ。(要デポジット、午後7時以降の限定。)

▽ブリュージュ/ダム間のボートクルーズ
4月から10月15日まで。1日5回運航、所要時間35分間。

片道:大人5.2ユーロ、子供3.7ユーロ(団体:大人4.7ユーロ、子供3.5ユーロ)
往復:大人6.7ユーロ、子供5.7ユーロ(団体:大人6.2ユーロ、子供4.2ユーロ)
予約先:ダム市観光局 http://www.vvvdamme.be/



ロマンチックな個人所有のシャトー「ワインカステール」

フランダース地方の南部に残る、かつてのローマ街道。街道沿いのベルギー最古の町、トングレンからさらに南下すると、ブドウ畑に囲まれた白亜の城が現れる。それは、ベルギーで唯一のワインシャトー「へヌルス・エルデレン城」だ。ワインカステールと呼ばれるシャトーは、オランダ人家族が経営する個人所有のもの。城からは、15ヘクタールにわたる広大なブドウ畑を一望することができ、のどかな景観を生み出している。

ここでは、小さなシャトーならではの丁寧な工程を経て無農薬の自然派ワインが作られている。約20品種のブドウから産出されるワインの量は年間1万9000本。そのため、地元で消費されることがほとんどだ。その味は、石灰石が混ざった土壌のよさも手伝って評価が高く、コンクールで賞をとることもしばしばだ。そんな希少なワインをテイスティングするだけでも、立ち寄る価値があるだろう。また、ワインの醸造工程をはじめ、13世紀に使われていたワイン蔵を見学するガイドツアーも実施している。

▽ワインカステール http://www.wijnkasteel.com/index1024.html
入場料: 4.5ユーロ(ワイングラス1杯テイスティング付き)
※日曜日を除き、通年予約可能/所要時間:2時間30分

(取材協力:ベルギー観光局/フィンランド航空)

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