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取材ノート:ルフトハンザドイツ航空の旅客サービス戦略-キャビンクルー採用と旅客サービス(第3回)

  • 2007年6月29日
2005年に40名もの日本人キャビンクルーを新たに採用したルフトハンザ ドイツ航空(LH)。拡大するアジアマーケットや日本人キャビンクルー採用の理由について、リジョナル・フライト・アテンダント・マネージャーのインカ・ヴァッヘンドルフ氏が語った。


マーケットの伸びを背景にアジアのキャビンクルーが増加

 現在ルフトハンザのキャビンクルーはおよそ15,000人。アジアのキャビアクルーの主な内訳はフランクフルトベースの日本人167人、韓国人41人、中国人204人。ほかに東京ベースの日本人45人、デリーベースのインド人181人、バンコクベースのタイ人91人がいる。

 アジアのキャビンクルーの採用が増えている背景には、マーケットシェアの拡大がある。なかでも中国とインドの成長は著しい。そのためアジアのなかでも、中国・インド・日本を特に重要なマーケットだと位置づけている。またミュンヘン〜中国路線が好調であることをうけ、今後ミュンヘンベースの中国人キャビンクルーの採用も検討している。

日本人キャビンクルーを採用する理由

 日本路線では乗客の80%以上が日本人。そうした状況のなかで日本人キャビンクルーへのニーズは自然に生まれてきた。一番の問題はやはり言語。もちろん日本語が話せるドイツ人キャビンクルーもいるが、完全に正しく丁寧な日本語が使えるわけではない。また日本人特有のノンバーバル・コミュニケーションや言葉の微妙なニュアンスは、ヨーロッパ人キャビンクルーには理解しづらいことも多い。日本人のリクエストやニーズに迅速かつ適切に対応するには日本人キャビンクルーが最適である。

 現在、日本路線には3〜4人のキャビンクルーが乗務している。このことは日本人の顧客がルフトハンザを選ぶ大きな理由のひとつにもなっており、結果的に競争力の強化につながっている。それと同時にフライトに同乗するドイツ人キャビンクルーが日本文化を理解する助けにもなっている。

日本人キャビンクルーに求める能力

 日本人キャビンクルーの採用に際しては、サービス業での実務経験や高校・大学卒業以上の学歴など具体的な条件がいくつかある。しかしなんといっても求められるのは「日本人らしさ」だ。日本人キャビンクルーにはより高いサービスレベルが求められることが多い。そのため正しい日本語を使えるのはもちろんのこと、日本人ならではの感覚を持ち、日本の常識やマナーを正しく理解している必要がある。

 また同社では現在日本ベースのキャビンクルー採用は行っておらず、基本的にフランクフルトベースでの採用となる。それゆえドイツを拠点としてその文化に馴染みながらも、日本人らしい感覚を忘れないでいることが非常に重要になってくる。さらにそのうえで、ドイツ人をはじめとする各国の乗客にも適切に対応できるよう、フレキシブルなサービスを提供できる能力が求められる。


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