南アフリカ、見本市「インダバ」開催−2010年サッカーW杯へ取り組み活発化

  • 2007年5月15日
[ダーバン 高橋絵美] 南アフリカのクワズル・ナタール州、ダーバン市において12日から15日の4日間、南アフリカの旅行見本市「インダバ(INDABA)」が開催されている。インダバ開催は今年で28回目。バイヤー、サプライヤー、メディア関係者を合わせて総勢約1万2000名が参加し、活発な商談を行っている。

 インダバでの話題の中心は、2010年に南アフリカで開催されるFIFAワールドカップ。南アフリカでは現在、ワールドカップ開催に向けて空港、交通機関、スタジアムなど建設、開発が進められている。宿泊施設はこのほど、南アフリカの格付け会社で評価されたB&B、ゲストハウス、またロッジなどをFIFAが公式宿泊施設とすることを認め、ワールドカップ開催中に南アフリカを訪問する約40万人の観光客に対応する。今回の2010年のワールドカップでチケットや宿泊施設を対応する企業「MATCH」のジェミー・バイロン氏は、その理由を「2010年に訪れていただく際、ロッジやB&Bへの滞在は、南アフリカに固有の施設であり、これらの施設は南アフリカを訪れた場合に触れることが出来る良い機会だ」と語り、高いホスピタリティで訪問者を受け入れる考えだ。

 また、安全面についても懸念材料とされている。これに関して、2010年までに1100万ランド(約2億円)を費やし、総勢3万人の警察官を配置する。これはワールドカップ期間中、10人の観光客を1人の警察官が対応する計算になる。また、政府は民間と協力し、犯罪率の低下に向けた取り組みも進めている。例えば、南アフリカ全土に3ッ星から5ッ星ホテルを展開するフォーエバーリゾーツなどの協力を得て、犯罪率低下の取り組みで著しい成果を挙げた警官10人にフォーエバー・リゾーツのプロパティーに1週間滞在できるアワードの創設した。これは、警察官の安全対策におけるモチベーションを挙げることが狙い。フォーエバー・リゾーツのマネージング・ディレクターであるクボス・タイト氏は「犯罪率の低下は、南アフリカの観光ビジネスを上向きにする重要な要素」と語り、この取り組みに参加する意義を強調した。
(写真:W杯会場予定のヨハネスブルグ、FNBスタジアム)


▽業界に向けた取り組み継続−局内にイベントセクションを立ち上げ

 2006年南アフリカへの渡航者数は前年比13.9%の839万5833人。日本からは前年比17.2%増の3万1898人が訪れ、増加率は堅調だ。南アフリカ観光局最高責任者のモケッツィー・モソーラ氏は訪問者の伸び率の維持を視野に、「世界的なマーケットのトレンドに対応していくことが大切」と述べ、情報収集手段として口コミやインターネットが重要になっているトレンドを強調した。モソーラ氏は、業界向けにFAMツアーやワークショップの開催、セース・キットの制作・配布を行っているほか、昨年から旅行業界専用サイト「トレード・エキストラネット」の開設を紹介。専用サイトは今年中に日本語化される予定で、各種のツールを活用して、旅行業界と広く訪問者の誘致に向けた取り組みを継続していく。

 また、モソーラ氏はこのインダバの会場で南アフリカ観光局に新たに「Events Division」を開設することを明らかにした。これは同観光局がMICEの強化を図っているものの一環で、さらに2010年のワールドカップを筆頭として、スポーツ競技をはじめとするイベントの誘致が観光産業の躍進に大きな役割を果たすとの認識から設置するもの。7月には正式に稼動する予定だ。