トップインタビュー:旅行会社の労に対する対価を払うのは当然−新町会長
JATA、IATA、行政の3つのスクラムで市場拡大へ その2
〜旅行業界と航空業界のあるべき姿〜
◆「航空会社が旅行会社の労に対する対価を払うのは当然。そういう関係はこれからもある」
―中間答申では「航空業界との需要喚起連携の強化」が盛り込まれています。旅行業界は代理業から付加価値産業へ脱皮しようとしており、航空会社も自社の商品の付加価値は何かを考える必要があると思いますが、航空業界、旅行業界でどう考えていくべきでしょうか
新町 歴史的に言えば、旅行会社はIATAエージェントとして育ってきた。航空会社は自分では販路を持っていなかったし、全てを自社で発券するのは大変なことになるので、旅行会社にIATAの認証を与え、発券を許可した。その代わり、対価としてコミッションを払うこととなっていた。時代の変化に伴い、航空会社の技術革新への投資によって予約・発券・販売に関する簡素化を実現できた。そうある以上、旅行業がコミッション・ビジネスで成り立っていた当時とは、発券エージェントとしての対価の中身が変わってきていると考えている。
旅行業界としては代理店の機能は必要だけれど、それに頼る業界ではないとして付加価値産業に脱皮する必要があるということ。また、航空会社にとっても代理店機能は必要で、全てを自社で販売しようとすれば、多大なコストを要するはず。つまり、航空券がまったく必要でなくなれば別だが、少なくともお客様と応対する必要がある間は対価を得ないといけない。最近はお客様から貰えば良いのではという発想があるが、航空会社が旅行会社の労に対してゼロでいいというわけではない。
これは燃油サーチャージにしても言えることだ。運賃としてお客様から徴収し、そうするために旅行会社は説明をする。場合によっては立て替えることもあるのだから。
―2007年末には完全Eチケットに移行されます。これに対し、旅行会社からはお客様に渡すものがないので営業的に重みがなくなるという意見も見られます
新町 最近は業務渡航を中心にEチケットの方が多くなってきている。航空券がなくなれば、旅行会社がお客様に航空券を渡す必要がないので楽になるはず。お客様に確認という意味で手渡すものがなくなるが、旅行会社のサービスとして、代理になるペーパーなどを作ればいい。だから航空券がなくなって困るということともないはずだ。
新しい習慣を取り入れるのは慣れが必要で、そうなるまでは旅行会社としてはお客様にきちんと分かってもらえるように説明する努力をする必要がある。だからこそ、旅行会社はコミッションを受けるのだし、場合によってはお客様からサービスチャージを貰えることになるのかもしれない。Eチケットになっても旅行会社として必要な業務が出てくる。
◆「旅行会社の発言の限界はあるが、航空会社の意向だけが成功するのは変な話。旅行会社の事情を考慮に入れたルール作りをお願いしたい」
―コミッションの問題はもちろんのこと、今年からSAME DAY VOID(SDV)、清算回数の変更が導入されることになりました。この対応も旅行会社の課題となっています
新町 IATAはどちらかというと、グローバルスタンダードで考える傾向が強い。航空会社は連帯運送だから、統一したグローバルルールがなくては困ることは理解しているが、日本のマーケットで考えるとずいぶんと構造が違うことがあり、マーケットを中心としたルールにできる分野もあると思う。そのためにIATAとのコミュニケーションは非常に大切。実態に合ったルールや商習慣にすり合わせる協議をしていきたい。マーケット中心主義という考え方を旅行業界も航空業界も持って、できる限り市場にあったルール作りをしていく原則を確立する必要がある。
今回の制度導入の必要性はわかるが、これにより煩雑になる旅行会社の業務を軽減させるような、例えばネット(正価)清算をなぜ導入しないのだろうか。この部分は一旦、金額を払い込んで後で戻ってくるという従来の形のままで、そうなると資金負担能力が必要になってくる。航空会社もできるだけ早く現金を回収したいと思うが、どんどん回収を急ぐのはあまりにも一方的な考え方だと思う。旅行会社の資金負担を軽減する手段も同時に考えてもらう必要があったと思う。
―旅行業と航空業のあるべき姿とは何でしょうか
新町 他の国に比べれば、日本の旅行業界と航空業界はよく話をしていると思う。他の国では航空会社が一方的にリードするマーケット構造になっている。でも、日本では航空会社も旅行会社もお互いの存在価値を大切なものとして分かっている。だからこそ、お互いのメリットを出す方法を協議し、ある程度は妥協する必要もある。
それには今まで話をしたように、お互いに要求することもでてくる。例えば、需要拡大にしても旅行会社が一方的に手を打とうとしてもだめなもので、航空会社にも協力してもらわなくてはならない。便数の面にしろ、チャーターにしても、双方で実現していく努力といえる。
共通の目標は、言わなくてもお互いに分かっていて、基本的に今の状況は悪くないと思う。ただ、定期的に話をする機会を持つことは必要。今後はIATAとの定期的な会合の場を持ち、さらに行政も含めた、3つのスクラムを組んで進めていきたい。
―ありがとうございました
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〜旅行業界と航空業界のあるべき姿〜
◆「航空会社が旅行会社の労に対する対価を払うのは当然。そういう関係はこれからもある」
―中間答申では「航空業界との需要喚起連携の強化」が盛り込まれています。旅行業界は代理業から付加価値産業へ脱皮しようとしており、航空会社も自社の商品の付加価値は何かを考える必要があると思いますが、航空業界、旅行業界でどう考えていくべきでしょうか
新町 歴史的に言えば、旅行会社はIATAエージェントとして育ってきた。航空会社は自分では販路を持っていなかったし、全てを自社で発券するのは大変なことになるので、旅行会社にIATAの認証を与え、発券を許可した。その代わり、対価としてコミッションを払うこととなっていた。時代の変化に伴い、航空会社の技術革新への投資によって予約・発券・販売に関する簡素化を実現できた。そうある以上、旅行業がコミッション・ビジネスで成り立っていた当時とは、発券エージェントとしての対価の中身が変わってきていると考えている。
旅行業界としては代理店の機能は必要だけれど、それに頼る業界ではないとして付加価値産業に脱皮する必要があるということ。また、航空会社にとっても代理店機能は必要で、全てを自社で販売しようとすれば、多大なコストを要するはず。つまり、航空券がまったく必要でなくなれば別だが、少なくともお客様と応対する必要がある間は対価を得ないといけない。最近はお客様から貰えば良いのではという発想があるが、航空会社が旅行会社の労に対してゼロでいいというわけではない。
これは燃油サーチャージにしても言えることだ。運賃としてお客様から徴収し、そうするために旅行会社は説明をする。場合によっては立て替えることもあるのだから。
―2007年末には完全Eチケットに移行されます。これに対し、旅行会社からはお客様に渡すものがないので営業的に重みがなくなるという意見も見られます
新町 最近は業務渡航を中心にEチケットの方が多くなってきている。航空券がなくなれば、旅行会社がお客様に航空券を渡す必要がないので楽になるはず。お客様に確認という意味で手渡すものがなくなるが、旅行会社のサービスとして、代理になるペーパーなどを作ればいい。だから航空券がなくなって困るということともないはずだ。
新しい習慣を取り入れるのは慣れが必要で、そうなるまでは旅行会社としてはお客様にきちんと分かってもらえるように説明する努力をする必要がある。だからこそ、旅行会社はコミッションを受けるのだし、場合によってはお客様からサービスチャージを貰えることになるのかもしれない。Eチケットになっても旅行会社として必要な業務が出てくる。
◆「旅行会社の発言の限界はあるが、航空会社の意向だけが成功するのは変な話。旅行会社の事情を考慮に入れたルール作りをお願いしたい」
―コミッションの問題はもちろんのこと、今年からSAME DAY VOID(SDV)、清算回数の変更が導入されることになりました。この対応も旅行会社の課題となっています
新町 IATAはどちらかというと、グローバルスタンダードで考える傾向が強い。航空会社は連帯運送だから、統一したグローバルルールがなくては困ることは理解しているが、日本のマーケットで考えるとずいぶんと構造が違うことがあり、マーケットを中心としたルールにできる分野もあると思う。そのためにIATAとのコミュニケーションは非常に大切。実態に合ったルールや商習慣にすり合わせる協議をしていきたい。マーケット中心主義という考え方を旅行業界も航空業界も持って、できる限り市場にあったルール作りをしていく原則を確立する必要がある。
今回の制度導入の必要性はわかるが、これにより煩雑になる旅行会社の業務を軽減させるような、例えばネット(正価)清算をなぜ導入しないのだろうか。この部分は一旦、金額を払い込んで後で戻ってくるという従来の形のままで、そうなると資金負担能力が必要になってくる。航空会社もできるだけ早く現金を回収したいと思うが、どんどん回収を急ぐのはあまりにも一方的な考え方だと思う。旅行会社の資金負担を軽減する手段も同時に考えてもらう必要があったと思う。
―旅行業と航空業のあるべき姿とは何でしょうか
新町 他の国に比べれば、日本の旅行業界と航空業界はよく話をしていると思う。他の国では航空会社が一方的にリードするマーケット構造になっている。でも、日本では航空会社も旅行会社もお互いの存在価値を大切なものとして分かっている。だからこそ、お互いのメリットを出す方法を協議し、ある程度は妥協する必要もある。
それには今まで話をしたように、お互いに要求することもでてくる。例えば、需要拡大にしても旅行会社が一方的に手を打とうとしてもだめなもので、航空会社にも協力してもらわなくてはならない。便数の面にしろ、チャーターにしても、双方で実現していく努力といえる。
共通の目標は、言わなくてもお互いに分かっていて、基本的に今の状況は悪くないと思う。ただ、定期的に話をする機会を持つことは必要。今後はIATAとの定期的な会合の場を持ち、さらに行政も含めた、3つのスクラムを組んで進めていきたい。
―ありがとうございました
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