イタリア、観光ガイドの規制を緩和へ−副首相来日で言及

  • 2007年3月22日
 「イタリアの春」の開幕に合わせ来日していたイタリア共和国副首相兼文化財・文化活動大臣のフランチェスコ・ルテッリ氏は20日、旅行業界関係者を集めた席上で観光振興策の一環で観光産業への資金援助、イタリアでの国際会議促進のための税制優遇策、ビザやガイドの規制緩和を明らかにした。

 ルテッリ大臣は「風光明媚な場所があるというだけでなく、イタリアの観光にも問題がある」とした上で、振興策について言及したもの。このうち国際会議促進の税制優遇策は付加価値税(IVA)が2007年には50%、2008年には100%が還付されるもの。先ごろ、イタリアの下院で成立、今後は上院での成立を待って、数ヶ月以内に実施される見込み。ルッテリ大臣は会議施設がローマ、ヴェニスなどで続々と開業する予定で、これを契機に旅客誘致を促進したいという。

 この会場で旅行業関係者を最も驚かせた大臣の発言は、ガイドの規制緩和について言及したもの。ルテッリ氏は「ガイドの自由化を図る」とし、議会では4月上旬に決定する見込みを示し、こうした政府としての取り組みにより、「イタリアへの旅行・観光を活発化したい」とも語った。ただし、このガイドの規制緩和はイタリアの労働問題とも密接に関係しており、イタリア国籍以外にも正式なライセンスの発行、あるいは地域限定ガイドの範囲拡大などに繋がるか、これまでに幾度か試みられており、正式決定までは予断を許さない。

 ガイド規制の緩和は日本/イタリア間の国レベルでの貿易に関する協議などで観光分野からの要望事項であったという。これまでのツアーでは添乗員に加え、現地ガイド、さらに通訳などが同行するケースもあり、こうした人件費が嵩むこともあった。副首相が言及した緩和が実現されれば、現在よりも少人数の最少催行人数に設定することも可能となることも予測され、多様化するニーズに応えた旅行商品造成の期待が高まる。


▽8日以上の滞在の届出も緩和

 ルテッリ大臣はさらに、8日以上の滞在についても、これまでの届出制度を緩和することにも言及した。これまでは滞在先のホテルやランドオペレーターなどが届出に対応しており、旅行会社としては大きな影響は無く、最近は厳しい運用ではないという意見もあるものの、実務的な手続きが簡略化される方向になるようだ。