観光活性化フォーラム
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海外運輸協力協会、インド・スリランカ観光開発促進協力調査の報告会を実施

  • 2007年3月15日
 海外運輸協力協会は14日、国土交通省から受託したインド、スリランカの観光開発促進協力調査の報告会を実施した。これを基に日本からの旅行者促進、日本の国際協力の在り方、観光交流の拡大に向けた提言を行う。

 インドの調査は、オリッサ州、アンドラ・プラデシュ州の2州を対象に実施。オリッサ州は東南アジアのインド文化のルーツであり、多くの寺院をはじめ、伝統地場産業が栄え、小数民族が生活しており、観光資源が豊富だ。こうした観光資源を活かし、今後の観光業の発展、およびビーチリゾートやエコツーリズムのデスティネーションとしてアピールしていくには、投資は必要だが、人々をひきつける潜在的な可能性は高いという。また、アンドラ・プラデシュ州では、質の高い歴史的文化財、建造物が現存、保存状態にバラつきがあるものの、観光デスティネーションとして魅力があり、インフラ整備などにより需要拡大に期待できるという。

 インド政府は近年、観光産業を国の重要産業として注目。また、日本はインド政府から発展途上の州の開発調査要請や観光分野での継続的支援、円借款案件形成のための技術協力要請を受けている。このことから、日本として今後、ODAタスクフォースの支援によりインドへの観光専門家の派遣や観光案件形成マニュアル・パンフレットの作成などを検討。また、観光統計、市場調査、農村地域での観光促進を担いJICA専門家の派遣などの可能性を示唆した。さらに、具体的な観光促進策として、ポスト「ゴールデントライアングル」と題し、円借款による形成された仏跡サーキットや世界遺産回廊、デリー/アグラ/カジュラホの世界遺産回廊、マジャプラデシュ/オリッサを結ぶデカン高原縦断ルートの開発など、複数の州にまたがる観光ルートの形成を訴えていく方針だ。

 スリランカでは、スマトラ沖地震・津波後の復興調査として特に南西海岸地域とコロンボ周辺地域、中央部歴史・文化地域を訪問。調査では、持続的可能な観光開発、スリランカ南西部への観光促進という視点で方策を検討した。この結果、津波の被害を受けた鉄道などの交通インフラは回復したが、津波で侵食された海岸は放置されている。ただし、海岸に砂を運び込むことで、改善が図れるほか、防災対策でソフト、ハード共に善処可能な箇所があるほか、持続的な観光産業の発展に向け廃棄物や下水処理施設の状況の改善が必要性であると訴えた。調査団は観光発展の方向性として、渡航者が減少した南西海岸への旅行需要の促進のため、海浜地域の改善やスリランカ政府観光庁も掲げるエコツーリズムの推進などの取り組みを強化すること指摘している。また、ビーチと自然観光のコンビネーションやホエールウォッチングと象のエコツアーなどの新規ツアーパッケージの造成を訴求したり、観光高等開発への協力の重要性を提案していくという。