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ドイツ、ハンザの街を感じさせる北ドイツのクリスマス

  • 2006年12月23日
 クリスマス・シーズンのデスティネーションといえば、ドイツ。人気の「クリスマス・マーケット」を目的とした旅行先の先駆けともいえるドイツでは、地域の特色を活かしたクリスマス・マーケットのツアーも続々と登場している。今回は12月上旬に訪れたハンブルグ、そして郊外のリューベックとロストックのクリスマス情報をレポートする。


▽北ドイツのクリスマス

 北ドイツには、かつての「ハンザ同盟」で栄華を誇った都市が多くある。その背景から、クリスマス・マーケットでツアーに組まれることの多いドイツ南部とは異なり、質の高い革製品や工芸品などが販売されるなど「商人の町」を漂わせる洗練されたクリスマス・マーケットが多い。バルト海に面した港町では、地元の人のみならずデンマークやスウェーデンなどの北欧諸国から訪れる人々もあり、クリスマス・シーズンは毎日遅くまで多くの人で賑わっている。

 冬の北ドイツは寒いのではないかという印象があるが、偏西風の影響で大西洋から温かい空気が流れ込み、冬場の平均気温はドイツ南部より高い。野外で過ごすことの多いクリスマス・マーケットを楽しむには、この気候は過ごしやすい。

▽娯楽要素の多い、華やかなハンブルグ

 11月下旬になると、「ハンブルグの真珠」と呼ばれるアルスター湖を中心にクリスマス・ツリーが登場。ハンブルグのクリスマスがはじまる。市内には6つのクリスマス・マーケットが立ち、中でも人気が高いのは市庁舎前広場で開かれるマーケット。人気サーカス団「ロンカーリ」が主催する市で、サーカスやコンサートをはじめ、毎日3回、トナカイとサンタクロースが上空を駆け抜けるような仕掛けを設置するなど、エンターテイメント性に優れている。このほか、ドイツ各地のクリスマスマーケットの特色も組み込み、ドイツ南部の有名なオーナメント(クリスマス・ツリーの飾り)の店もある。

 また、イルミネーションで彩られたクリスマスの雰囲気を楽しみに、ウィンドー・ショッピングに出かけるのもハンブルグならでは。ハンブルグはショッピング施設が充実しているが、今年10月には中心街に「ヨーロッパ・パッサージュ(Europa Passage)」というヨーロッパ最大のショッピングモールもオープン。クリスマス前のショッピングに店内は平日の昼間から、すでに多くの人で賑わっている。


▽当時の姿が楽しめるリューベック

 リューベックはハンブルグから列車で40分ほどの古都。かつて「ハンザの女王」と呼ばれ、バルト海経済を握り莫大な経済力を誇ったこの街のクリスマス・マーケットは個性豊か。世界遺産のマリエン教会の周りは、中世時代の「ギルド」を彷彿とさせる伝統的なクリスマス・マーケットが開催されている。スタンドの数は10個ほどで小規模だが、各店員は中世の衣服を身にまとい、雰囲気を盛り上げている。スタンドの種類も多岐に渡り、ワインや蜂蜜などの食品から銀製品や毛皮類まである。

 繁華街ブライデ通りを北へ進むと、聖霊養老院でのクリスマス・マーケットに着く。聖霊養老院は1280年頃にハンザ商人たちが出資し、建設された社会福祉施設。現在は養老院としてではなく各種のイベント会場として利用されている。クリスマス・シーズンには、かつて病室として使われた個室と丸天井部分を利用してクリスマス・マーケットを開催する。ここにはドイツ国内、北欧諸国から職人が150人ほど集まり、それぞれの技を披露。絵画やクリスタルなど他のクリスマス・マーケットでは見られない品々が販売される。これを一目見ようと毎日多くの人が訪れるが、人数制限があるので養老院前には入場を待つ人の列ができる。グループの場合は事前に予約ができ、待ち時間無く入場することができる。


▽北ドイツ最大規模のロストック

 リューベックから列車で東に1時間ほど進むとロストック。このクリスマス・マーケットは北ドイツ最大規模だ。約300のスタンドが市庁舎前を中心に連なり、毎年約100万人の人々で賑わう。中心にある移動式遊園地やイベント会場などをはじめ、飲食類、工芸品、クリスマス用品などスタンドの種類も多く、1日中いても飽きることのないマーケットだ。ドイツ北部原産の木を使った素朴でかわいらしいオーナメントを売っているスタンドも多く、自分のお気に入りを見つけに各スタンドをじっくり見て回るのも楽しいだろう。

 ロストックは昔から北欧諸国との関係が深い港町。現在も北欧とのフェリーが周航しており、クリスマス・シーズンに限らず、年間通して北欧からの観光客で賑わう。ただし、クリスマス・シーズンはサンタクロースが船に乗り、この街を訪れる人々に船の上から雰囲気を演出する。

 また、ロストック近郊にある港町ヴァーネミュンデもクリスマス色に彩られ、カフェやブティックなどが連なる通りを散策するのもお勧めだ。昨年からスパを併設したリゾート施設がオープンしており、受入れ体制も充実してきている。新しいドイツのリゾート地として注目すべきデスティネーションとなるだろう。