ガリレオ親会社のトラベルポート、ワールドスパンを統合−競争激化に対応

  • 2006年12月11日
 ガリレオインターナショナルを傘下に置くトラベルポートはこのほど、ワールドスパンとの統合協定を締結した、と発表した。現時点では、アメリカ、および欧州の規制当局による承認等を経る必要があり、両社は統合プロジェクト・チームを発足し、今後、具体的な案件を詰める。

 トラベルポート最高経営責任者のジェフ・クラーク氏は、統合のメリットとしてサプライヤーである航空会社などにより低価格を提示することが出来るメリットを強調。また、市場環境はサプライヤーによる直販化をはじめ、GDSを経由しない予約も増え、競争が激化していることから、規制当局もこうした観点を考慮する、という見方を示している。

 今回の統合でガリレオ、ワールドスパン、それぞれのブランドについては統合するなどの具体的な方針は決まっていないものの、技術分野、システム、セールス、両社のオフィスの統合など、全般に及ぶ。GDSに限った市場競争では、アマデウス、セーバーとの競争が激しいという認識をクラーク氏は示しており、「技術的に最先端であること、サプライヤーへの対応で競争力を保つこと」を重要ポイントとして挙げる。この統合の実現により、例えばワールドスパンで進むIT対応をガリレオ側に取り込み、ガリレオ側の世界規模のネットワークやプロダクトをワールドスパンに提供するなど、相乗効果が高いという考えも示した。

 トラベルポートによると、GDS事業の約50%超は国際市場での収入で、このところは「アジアでの伸びが非常に高い」(クラーク氏)という。今回の統合で、ガリレオジャパンなどでの変更は現時点で情報は無いが、オンライン販売の伸びが大きなトレンドは世界規模だけに、統合によるアジア市場への影響、ひいては日本市場での流通面への影響も予測される。

 なお、この統合は2つの段階を経て、実行される計画。第1にワールドスパンの資本再構成があり、トラベルポートからワールドスパンへ1億2500万ドル(約147億円)、また、トラベルポートの親会社もワールドスパンへ1億2500万ドルの融資を行った現段階を経て、第2段階となる14億ドル(約1650億円)での買収となる。これらのプロセスは2007年第2、第3四半期としており、統合までには約2年程度がかかる見通し。また、統合効果は短期間のコスト削減効果として約5000万ドル(約59億円)を見込んでいる。