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トラベル懇話会、「地盤沈下」の業界に6つの提言、業界一丸の取組みを促す

  • 2006年8月10日
 旅行会社などで構成する任意団体のトラベル懇話会はこのほど、「旅行産業の発展に向けての提言」を取りまとめた。9月初旬を目処に国土交通省、日本旅行業協会(JATA)など関係団体、業界各所に提言する予定。
 この提言は6つの項目からなる。柱に旅行業の収益性向上、市場拡大・喚起のための行政施策、旅行産業の人材の供給と育成はいかにあるべきか据えたもの。提言は(1)情報集約産業への脱皮、(2)「観光道州制」構想、(3)旅行・松下村(しょうかそん)塾構想、(4)人材バンキング構想、(5)現行資格制度の改革、(6)教育制度の改革、から成る。

 提言は旅行産業の低収益性、人材育成の不足などから業界の「地盤沈下の危機に直面している」との危機感を視座とし、提言の実現に向けた業界一丸となった取組みを目指している。消費者主導型に市場全体が変化しつつある中、マーケティング手法の変化に対応するため、情報を集約するサイトの構築、行政機関の機能的な単位として、「観光庁」を中心として地域観光推進機構などの活動を活かしながら、観光面についての県を越える行政単位の必要性などを盛り込んでいる。
 また、トラベル懇話会の取組みとしても、旅行業界のマネジメント能力の開発、向上を目指す「旅行・松下村」を設立し、業界で働く多くの女性を取り込んだマネジメントのプロ育成に積極的に関与する。このほか、各大学に対して観光学の講座の開講を促し、産学協同で進めるための寄附講座、講師派遣についてもトラベル懇話会では積極的に関与するとしている。

 なお、今回の提言は政策提言委員長にジャルパックの梶明彦社長が務め、ANAセールス、日本通運、クロノス・インターナショナル、名鉄観光サービス、トラベルジャーナルグループ、アール&シーツアーズ、日中旅行社、パシフィックツアーシステムズ、NECトラベルなどが参画。提言の素地として各社の若手スタッフがワーキンググループを組織し、社長クラスで構成する政策提言委員会へのたたき台を作った点も評価されるところだ。