JTBF、海外旅行は「チャンス」機、市場は男女40代の伸びと20代下げ止まりで拡大か

  • 2006年7月27日
 (財)日本交通公社(JTBF)は海外旅行動向シンポジウムを開催、夏以降の動向について明るい見通しを示した。JTBF主任研究員の黒須宏志氏は昨年の反日デモの影響は業界に危機的な状況であったとしたが、「ピンチのあとにチャンスあり」と回復を示唆した。

 この論拠として昨年の性年代別の伸び率について男女ともに40代の出国率が伸び(男性5.4%増/女性10.2%増)、20代の男女についても特に20代前半で減少に歯止めがかかる傾向(男性:20代前半2.9%減、20代後半6.5%減/女性:20代前半1.1%減、20代後半5.1%減)が見られると指摘。
 このうち、40代については世代交代が進み、30代女性が海外旅行を生活の一部としたまま40代になったこと、男性でも「ちょい不良(ワル)オヤジ」など消費をリードする側面も指摘し、変化の兆しと捉える。男性は、ビジネス旅行も多いが、子連れ旅行に加え、夫婦2人の旅行などもあり、東南アジアの都市滞在を楽しむ需要も多いという。20代については、経済全体が上向きとされる中、雇用環境が改善されたことを要因とし、海外旅行市場で足を引っ張る層から脱却しつつあるとした。

 こうした状況を踏まえ、これまで市場をリードしているとされた50代が昨年は減少しており、これが反日デモの影響が解消される中、回復が期待される。これに加え、40代の海外旅行需要、および20代のマイナス要因が解消されつつあることから、プラス要因に働いている環境との分析だ。
 ただし、プラス要因はデスティネーションとしては、東南アジアを主とするショートホールのデスティネーションが主力となる見込み。いわゆるこれまでの「安近短」から間際でも予約できる自由度の高さが、旅行者の消費行動とマッチしていることを上げ、全体として需要の増加につながるとの見方だ。