観光活性化フォーラム
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グアムは海だけじゃない!緑のジャングルを行くトレッキングが話題に

  • 2007年5月27日
 グアムといえば、いわずと知れたビーチリゾート。昼間はビーチでのシュノーケリングやマリンスポーツ、イルカ・ウォッチングなど海でのアクティビティを楽しみ、夕方以降はショッピングやダイニング。そんな旅行を楽しむ人が多いが、最近じわじわと話題になっているのが、グアムの7割を占めるといわれるジャングルを行くトレッキング・ツアー。トレッキングを目的に、グアムを何度も訪れている人が増えている。




▽ジャングルの中はビーチより快適

 グアム政府観光局(GVB)によると、グアムでのトレッキング・ツアーはここ数年で整備され、ツアーが増えているという。今回はグアムのトレッキングにおけるパイオニア、U.S.エクスプローラー&スタディの「探検ジャングルトレッキングツアー」に参加した。

  タモン地区のホテルから車で15分ほど。小高い丘の上にある消防署「COMNAVMAR FIRE STATION」が、今回の「フォンテダムコース」のスタート地点。昨夜降った雨の湿気とグアムの熱い日光のせいでちょっと蒸し暑さを感じる中、徐々に茂みが濃くなる草原に足を踏み入れていくと、野生のバナナやパパイヤ、そして苦いジュースで話題のノニの木など、南国グアムらしい自然を目の当たりにして徐々にテンションが上がってくる。

 背と同じくらいの高さがある草をかき分け、うっそうとした茂みに足を踏み入れる。目の前に伸びてくる葉っぱに気をとられていると、地面がでこぼこだったり、足元に咲くかわいい花を見ていると、見事なヤシの木があったりして、ジャングルの全部を見てやろうと思いながら歩くのはなかなか大変。ツアーについていこうと歩いているうちに、気が付けばすっかりヤシやシダ類に囲まれるジャングルの中にいた。さっきまでの蒸し暑さがなくなり、涼しささえ感じられる。これがジャングルが出すマイナスイオン効果なのだとか。

 さらに、ガイドの竹内たか子さんによると、「ジャングルでは蚊に刺される心配があるかもしれませんが、グアムの場合は野生のイモリやヤモリが多く、蚊を食べてくれるので少ない」とのこと。しかも、グアムには毒を持つ生物がいないので、「蜂にさえ注意すれば安心」という。これなら、快適にトレッキングが楽しめそうだ。

▽川を歩き、滝壺にダイブ、ロッククライミング気分の岩登りも

 歩を進めると、今度はレンガとコンクリートで作られた高さ15メートルほどの小さな古いダムに遭遇。このフォンテ・ダムは1910年、アメリカ統治時代に作られたもの。ダムの上から下の川を見ると、手長えびやアメリカザリガニがはねる様子が見える。

 ダムを降りて、川の中へ。川は泥や枯葉などで滑りやすいため、事前にトレッキング用のサンダルを貸してくれる。今の時期は若干、川の水が濁っているが、雨季に入ると透明度が増すそうだ。最初は足首くらいだった水かさは膝くらいまでになり、足元からトレッキングしているんだという実感がじわじわ感じられる。そして、5メートルくらいの小さな滝の上から滝壺の中へジャンプ。最初は恐る恐るという女性も、飛び込んだ後は爽快そうな笑顔を見せていた。

 川から上がり、次に目指すのはフォンテの丘。ここでお昼ご飯を食べるのだが、丘に上がる最後の砦となる高さ10メートルほどの急斜面が現れた。道はあり、慣れている人なら足だけで登れそうだが、女性や初めての人は前かがみになって、手で岩をつかみながら登頂する。ちょっとスリルを感じながら登りきった後に見下ろす眺めは最高。ちょうど歩いてきた濃緑のジャングルと川、そして周囲に広がる草原の黄緑色が美しく、緑色に包まれたグアムの景色に驚きと感動を覚えた。



▽ジャングルの中に見られるグアムの地理的軌跡、文化・歴史の遺跡

 今回のフォンテの滝のコースは、同社の50以上あるコースの中でも、一番無難なコース。実際に歩く時間は2時間ほどで、ジャングルのトレッキング、リバートレッキング、丘の上のトレッキングと、バランスの良い内容になっている。どのコースを歩くかは、参加者の経験や当日の天気などを考慮して決めるのだという。一度トレッキングを経験すれば、ビーチサイドとジャングルを組み合わせたコースなど、徐々に難易度の高いコースに挑戦でき、その分、新しいグアムの魅力に出会える。同社のトレッキングを楽しみに、7回〜8回以上もグアムを訪れる人も多いという。

 トレッキングは日本でも体験できるが、海底火山の噴火により珊瑚が隆起してできたグアムでは、洞窟などの石灰質の台地ならではの地質的特長が多く、さらに興味深いものに演出している。古代チャモロ人の住居跡やラッテストーンなどの文化遺跡、そして太平洋戦争時代の遺跡も残り、学習的要素も豊富。今回のツアーでも、コースの横には日本軍が使用していた洞窟跡があり、希望すれば案内できる箇所もあるという。コースを選べば、知的好奇心の旺盛なアクティブシニアや修学旅行など学生などにも最適だといえるだろう。何よりも、ツアーで一緒になった一般の参加者達の笑顔とエネルギッシュな雰囲気が、誰にでも受け入れられるアクティビティであることを証明していたように思える。