アメリカのプロモ、今後はTIAなど民間が主導へ、ディズニー・ラズロ氏、TIAダウ氏が言及

  • 2006年5月10日
(オーランド発:鈴木次郎) 全米旅行産業協会(TIA)のプレジデント/CEOのロジャー・ダウ氏、TIAナショナルチェアでウオルト・ディズニー・パーク・アンド・リゾート会長のジェイ・ラズロ氏(写真)がパウワウ会場で会見、今後のアメリカのプロモーション計画を語った。ラズロ氏によると、今後15年程度を見通し、活発化する国際旅行市場の動向を踏まえ、アメリカの世界におけるインバウンド市場のシェアが低下している現状について、デスティネーション競争に打ち勝つための方策「アポロ計画」について各種の視点から計画を検討しているという。

 この話し合いは、政府に対するロビー活動の活発化や、訪問者受け入れの体制などとともに重視する今後の活動計画を練るもの。ダウ氏によると、「予算を獲得するための計画」で、約3億ドル(330億円)程度を世界各地にプロモーション等の費用として投入、世界各国のプロモーション予算と対抗する狙い。
 特に、オーストラリアが約1億米ドル、トルコが6000万ドル(約66億円)などと比べ、現在のアメリカの国としてのプロモーション予算額の規模が小さいことに対処するもの。例えば、日本市場には商務省がテレビCMなどで今年、予算を投入する計画だが、これで世界規模のプロモーションとしては予算も少なく、少数の国に対してのプロモーションに限られることも背景にあるようだ。ただし、アメリカはもともと、民間企業が主導する土壌が強く、民間企業を母体とするTIAなどが主導する新たなスキームを構築、民間の団結による政府への要求を強め、資金を集めることで大規模なプロモーションという形に変化していきそうな流れだ。

 ただし、こうした青写真の実現までには今後、2年程度かかる見込み。具体的に予算額の国別の配分、広告展開での紙誌面・ネットなどの割合、就業人口の創出の予測など細かい点についてのマーケティングを重視、さらに合理的なプロモーション方法を探るという。


▽日本でのプロモ、テレビCMの映画に「メイド・イン・マンハッタン」採用
 プロモ規模は400万ドル程度の見込み

 また、上に触れたとおり、アメリカ商務省が展開するプロモーションは当初発表した980万ドルの予算から日本に投入される。マーケティング予算、英国向け予算もあり、日本向けの予算規模は商務省のものについて内訳は公表されていないが、商務省と民間の協力のプロモーションとなることから、規模としては約400万ドル(約4億4000万円)程度にのぼる。この予算はテレビCM、イベント開催などのほか、TIAが日本で運営するSeeAmericaサイトなども含まれる予算。

 プロモーション開始については夏の需要にむけて早期の展開を求める声も強いが、現時点では9月ごろが有力。また、テレビCMで展開する映画の内容についても公表が控えられているが、イギリスで展開したCMでは「メイド・イン・マンハッタン」、「シカゴ」、「L.A.ストーリー」、「ビバリーヒルズコップ」、「スピリット・オブ・アラスカ」、「スイート・ホーム・アラバマ」、「マイアミ・ブルース」、「オクラホマ」、「グランド・キャニオン」、「ビバ・ラスベガス」などの映画が使われており、これらが有力だ。すべて地名が入った映画で、視聴者にも1シーンを見て旅情をさそう物となる。旅行各社からもこうした映画の撮影地を訪れる旅行商品の造成に取り掛かる動きがあり、正式な発表を待って活発な動きにつながりそう。