フランス政観、ホスピタリティの向上へ積極的に取り組む、大臣、再度安全性強調

  • 2006年4月7日
<パリ発・宮田麻未> パリ・エクスポを会場に開催されたフランス最大のトラベルマート「ランデヴー・フランス」と合わせ、世界各国から集まったフランス観光アドバーイザー委員による委員総会が4日、リーヴ・ゴーシュ・サン・ジャック・ホテルを会場として開催された。この委員総会は今回で3回目となる。世界30ヶ国から150名以上が参加し、日本からは財団法人日本交通公社(JTBF)理事の小林英俊氏をはじめ4名が会場に臨んだ。
 会の冒頭、挨拶に立ったフランス政府観光局ジェネラル・ディレクターのティエリ・ブディエ氏は、1994年から開始した「フランスらしいホスピタリティで世界からの観光客を迎えようとするキャンペーン」は現在も様々な形で発展的に進行中であることを強調。2004年に発表した「ボンジュール・フランス」キャンペーン以降使用されている、手のひらを大きく広げたロゴは、観光客を温かく迎えるフランス人の心の象徴とし、「ホスピタリティこそ、観光の基盤だ」と述べた。今後は、旅行業界関係者のホスピタリティ・スキル向上のために、報奨制度やホスピタリティ・ハンドブックの配布など積極的な戦略を展開していく。


▽観光関連業にホスピタリティ基準の認定制度を導入

 フランス観光省のティリー・エゲィ部長は会議において、「Qualité Tourism」の認定制度について語った。この認定制度は、ホテルやレストランなどをはじめ、観光に関連する広範囲の業者を対象とするもので、清潔さや安全性の確保、食事の質など、「ホスピタリティ」の質を総合的に評価するもの。導入の目的は高品質を保ち、クオリティコントロールを行うため。現在、既に660の業者が認定を受けており、今後は博物館や美術館、歴史施設などにも認定範囲を広げ、ホスピタリティの質の向上に役立てたい考え。


▽抗議、暴動、デモについて大臣が安全性を強調

 また、レオン・ベルトランド観光担当大臣は、「観光がフランスの国家財政に及ぼす大きな影響については、フランス国民になかなか理解を得難い」と認めながらも、観光関係への投資の有効性を積極的に強調していく考えに変わりは無いとの考えを示した。
 ただし、会場からは、昨年秋からの抗議行動や暴動事件などに触れる質問がいくつか出された。これに対し大臣は「メディアの報道姿勢に問題があると思う。デモなどが観光客に及ぼす影響はほとんどない。実際にパリにいるあなたがたが自分の目で見た体験を語って欲しい」と述べ、観光客の安全を強調した。

 4月4日はパリの地下鉄従業員などの大規模なストが敢行。実際は、間引き運行であるものの、鉄道は動いており、道路の混雑などを除いては観光客への目だった影響は見られなかったよう。ルーブル美術館など主要な観光ポイントも火曜日は通常の定休日とあり、この点ではストライキの影響は最小に抑えられたと見られている。