JATA、海外旅行促進で国交省に要望、需給バランスも踏まえた項目も

  • 2006年3月17日
 日本旅行業協会(JATA)では、このほど国土交通省に対して海外旅行促進のため、国の支援を期待する項目について要望書を取りまとめた。これは現在、国交省を中心として進めるインバウンド促進策において、相手国からは日本アウトについての要望もあり、イン・アウトが一体化した議論があるため。日本と海外各国との観光に関する2国間協議は、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリアなどがあり、今年7月には日中韓の3ヶ国での相互の観光大臣級会議も予定されている。こうした背景から、国交省でも日本型「観光立国」はイン・アウトの「2way」ツーリズムを推進するという認識が高い。

 JATAではこうした状況について、「国のサポートをするとともに、後ろ盾をお願いしたい」としており、インバウンドだけでなく、アウトバウンドの促進にも好環境となりつつある。ただし、JATAでは国の予算である税金が億単位で投入されるものでもない、との認識で国側の展開するプロモーションと共に展開することの重要性の方を期待しているという。
 要望書は在日外国観光局協議会(ANTOR-JAPAN)の海外旅行促進のための10検討課題を踏まえて、JATA海外旅行委員会でまとめたもの。内容について、JATA事務局長の石山醇氏は「従来からJATAが言及してきたことの集大成」とし、これまでのJATAの活動の延長線上にあるものとの認識を示している。

 要望書の内容では特に、昨今の航空座席供給量の動向を踏まえた対応も言及。石山氏は、「先ごろの日本航空(JL)が公表した中期経営計画のインパクトは大きい。需要は伸ばそうとしているところ、供給が減少してしまう」と語り、需給のアンバランスが業界として課題であるとの認識で、海外旅行を促進する見地からの要望を盛り込んだとの考えを示している。該当する項目は特に、航空政策の規制緩和の推進について。この中では、LCC参入の容易化や地方空港から乗り継いで成田、関空などで出国する場合の空港施設使用料免除、あるいは少人数グループ用、クルーズ旅行用など旅行形態などに応じたプロモーションフェアの導入、など。
 さらに、地方の需要喚起として主要地方空港から近距離国際定期便の開設のための海外キャリアの誘致、本邦キャリア、外国キャリアのチャーター便の積極的な展開も盛り込まれている。最近は地方のチャーター便ではイン・アウトで旅客を輸送し、海外からの日本インバウンド、日本発の旅行需要を組み合わせて実施する例も多く、こうした成功事例も踏まえた内容となった。
 なお、国への支援についての要望書の項目は下記の通り。

▽アウトバウンド促進のため、国の支援を期待する事項
1:インバウンドと一体としての需要喚起キャンペーン
2:近隣諸国との交流促進のための環境づくりとしてのトップレベルのコミットメントによるポリティカル・イシューへの対応
3:国民の海外渡航意欲の増進
4:発展途上国の日本市場へのアプローチを支援すべく、渡航先国の政府観光局の開設支援など
5:青少年の海外渡航の促進のための規制緩和
6:二国間および多国間における観光限定の相互ビザ免除の検討
7:安心・安全の旅推進のための積極的な危機管理など環境整備
8:新型インフルエンザ等への適切な対応
9:市場規模の拡大に即応しキャパシティーを確保できる航空政策の規制緩和の推進など
10:航空を通じての地方の国際化支援
11:その他支援(ロングステイ、フラワーツーリズムなど新しいツーリズムの開発、MICEの普及・啓蒙と専門家養成の整備に対する支援)