JASTA・JATA、共同でクルーズ市場の拡大目指すセミナーを開催

  • 2006年3月14日
 日本船旅業協会(JASTA)、日本旅行業協会(JATA)は13日、横浜で「クルーズ販売におけるラグジュアリー・マーケットへの取り組み」をテーマにセミナーを開催した。現在、日本のクルーズ人口は約17万人だが、2010年までに官民あげて50万人に伸ばす計画がある。こうした時流を捉え、さらにクルーズ商品が旅行業界で高収入を獲得できるひとつの販路である認識を高めるとともに、今回は特にラグジュアリー・カテゴリーのクルーズ販売の現状、旅行会社の取り組み状況などを紹介した。

 基調講演でグローバルユースビューロー代表取締役副社長の古木康太郎氏は、同社がラグジュアリー・カテゴリーの顧客獲得に至る経緯、販売戦略、顧客の維持の方法、およびクルーズ販売スタッフに必要な事柄などを説明。ラグジュアリー・カテゴリーのクルーズ販売には、顧客のセグメント化、販売スタッフのクルーズ体験、クルーズのエキスパートを業界全体で育てていく必要性を唱える。また、古木氏は、「ラグジュアリー・クルーズと他のクルーズの違いを理解して販売することが必要。理解しないで販売した場合、お客様の期待と一致しないことがある」とコメント。ラグジュアリー・クルーズが5万トン級の中規模客船であり、乗客1人に対するスタッフの人数の多さやクルーが乗客の名前を覚えるなど、ホスピタリティの高さを理解し、それらのサービス紹介をお客に丁寧に説明することが重要なポイントと指摘した。


 基調講演に次いで開催されたパネルディスカッションでは、クルーズ販売を行う旅行会社、および船会社の合計4社が参加し、クルーズマーケットの動向、販売施策を紹介した。パシフィックツアーシステムズ・クルーズデスクの富樫菜穂子氏は、ラグジュアリー・マーケットの客層は富裕層とシルバー層で、参加者のほとんどが70代以上と言い、今後は百貨店などの店舗で展開する強みから、団塊世代をはじめとする百貨店VIPへのアプローチを積極化することを紹介した。また、JTBロイヤルロード銀座の斎藤和宏氏は、今後ラグジュアリー・カテゴリーを訴求する層に「至れり尽せりのサービスを求める顧客」と、ルックJTBでビジネスクラスの利用客を挙げ、医者、会社社長などのVIPは繁忙期限定で参加を求めることから、これに上手く合う商品を紹介し、販売を促進する考えを述べた。

 また、シルバーシー・クルーズ日本総代理店のインターナショナル・クルーズ・マーケティングの今川聡子氏は、乗客について「デスティネーションを決めて参加するのではなく、シルバーシーのクルーズを楽しみに乗船する方が多い」と語り、乗船中の船上で次回クルーズの予約をすると割引されるサービスを利用するケースが徐々に増えていると紹介。サービスを体感した乗客はリピーターになりやすい傾向があるという。さらに、郵船クルーズの遠藤陽子氏は、ブロックが難しい現状を語り、アメリカでは早期予約を実施するなど予約時期の早期化を訴えた。