JATAなど、D/S授与式開催、制度改革・講座拡大で受験者数増を目指す

  • 2006年3月6日
 日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本添乗サービス(TCSA)からなるトラベル・カウンセラー制度推進協議会が行うトラベル・カウンセラー制度の第1回デスティネーション・スペシャリスト(D/S)にこのほど60名が合格、D/S認定証授与式を開催した。
 今回は2004年度に開始した12ヶ国・地域で実施。なお、養成講座は2005年度9月期に英国・アイルランド、イタリア・マルタ、インドシナ(ベトナム・ミャンマー・カンボジア・ラオス)を加えており、現在15講座(27ヶ国・地域)で展開している。トラベル・カウンセラー制度推進協議会は06年度に向けて、中国、韓国、台湾、シンガポール、タイの5ヶ国を追加し、制度を拡大すると共に、4月からの受験費用の低減、資格認定試験だけの受験も可能とし、受講者数の増加を目指す。

 JATA会長の新町光示氏は、「平成16年度にこの制度を開始した背景は、市場の変化、お客の変化があった。以前から述べている通り、旅行業が代理業ではなく、付加価値を販売するようになるためにこの制度は必要。高度な専門知識が必要とされるようになった今、真のお客に役立つこの制度を活かしてほしい」と制度の重要性を語った。資格獲得者に対しては、「今までにない高度なサービスを提供してもらいたい。そして、他のスタッフの模範となって、業界をリードしてほしい」と今後の活躍に期待を示した。また、ANTA専務理事の柚木治憲氏は、リピーターの増加、旅行者の知識向上が進み、「このままでは知識でお客に追い越されてしまう」と危機感を述べ、「デスティネーション・スペシャリストが日本の旅行業界の一つの促進材となるだろう。今日がスタートラインに立ったという認識で、切磋琢磨し、お客へ旅行情報の提供や旅のコンサルタントをし、マーケットの拡大に貢献してほしい」と語った。
 TCSA会長の山田隆英氏は、「TCSAの添乗員能力資格認定試験を将来、T/C制度と一体となって業界を盛んにさせたい」などとビジョンを説明。D/S実施のため貢献したANTORを代表し副会長で、全米旅行産業協会(TIA)日本代表の井上嘉世子氏は、「スペシャリストの方には旅行会社の窓口の役割をやってほしい。そして旅行会社のトップの方々には、スペシャリスト認定者を適材適所に配置してほしい」と同制度の役割、発展に期待感を示した。日本海外オペレーター協会(OTOA)会長、ミキ・ツーリスト代表取締役社長の影嶋雅昭氏は、多様化する旅行者のニーズに対して応えるには魅力ある旅行作りができるスペシャリストの必要性を強調した。

 今回の合格者の層は30代が中心。参加者数は73人で、実技合格者は71名であったが、認定条件には現地の渡航経験が求められることから、このうち11名は保留。合格者のうち1名は2つのデスティネーションの資格を取得した。合格者のeラーニングをする時間帯は、「毎朝30分ほど」、「平日の夜を利用して」、「土日の時間のあるとき」など様々な声が寄せられた。なお、今回の講座別認定者数は下記の通り。

▽D/S認定者数(国・地域/人数)
スカンジナビア/4名
オランダ・ベルギー/3名
ハンガリー・チェコ/2名
ドイツ※/10名
スペイン・ポルトガル/7名
トルコ/2名
香港・マカオ※/6名
アメリカ/4名
ハワイ/10名
グアム・マリアナ/5名
オーストラリア/7名
ニュージーランド/1名
合計/61名

※印は1人が2つのデスティネーションを取得