セントレア、開港1周年で旅客は1230万人と想定内、乗継はこれからの課題

  • 2006年2月21日
 中部国際空港(セントレア)は17日、開港1周年を迎えた。これについて、中部国際空港取締役副社長の山下邦勝氏は「旅客数の2005年度見込みは1230万人とほぼ想定どおり」と語り、開港ブームと万博効果による旅客の上積みが今年度の好調さに寄与している考えを示した。この内訳は国内線が500万人、国際線が730万人。4月から12月までの2005年度累計は名古屋空港の実績比で13%増の951万8628人となっており、このうち国際線は22%増の402万1231人、国内線は8%増の549万7397人。

 ただし、開港当初に掲げた乗継旅客を重視した空港運用にはほど遠いとの見方だ。空港会社が航空各社から聞き取りをした数値では、当初は月3000人程度から現在は5000人程度と乗継旅客は増加しているものの、年間では片道で約6万人ほど。平野社長などの見方は「実績が上がっているとは言えない」として、社内的には60万人程度までに高める必要があると考えているようだ。また、韓国・仁川をはじめとするアジアの他空港、欧州の主要空港を視野に入れており、特に欧州は利用旅客の約半数が乗継旅客というケースも踏まえ、早期に実現を目指す。

 このため空港会社内の組織を再編。営業部に商業企画グループ、広告宣伝グループを置き、航空旅客以外の誘致、乗継旅客の利用向上などを体系的に展開する。これは、会社全体としては需要喚起につながる動き。ただ、乗継についてはエアポートセールスグループが内際乗継利便の高い便を指定し、旅行会社へ商品造成を働きかけ、航空会社に対しても販売促進のサポートを促すなど、個別具体的に橋渡し的な役割を果たすという。

 現在は、例えば日本航空(JL)のパリ線では福岡と乗継が可能だが、札幌とは無理。こうした便については航空会社に対してスケジュール調整を継続的に働きかけていく。「海外との玄関口にしたい」と山下氏は言うが、旅客の利用を促進していくという側面からは、万博の特需が終わり、仕切り直しという感が強い。