成田の降雪による混乱、現時点での改善策などを国交省が取りまとめ

  • 2006年2月9日
 国土交通省航空局は1月21日の成田空港での降雪による混乱について事態の概要把握、今後の改善策について公表した。国交省は今回の事態に関して、航空会社や旅行会社などからヒアリングも実施、成田国際空港会社(NAA)も今後同様の事態を招かないため「雪氷対策強化検討会」を設置している。ただし、21日に1万人、天候が回復した22日にもダイヤの乱れが続き、3000人が空港内で夜明かしをした事態を遺憾とする立場。
 改善策は(1)機体の除雪、(2)他の空港に着陸するダイバート、(3)駐機スポットの対応、(4)運用時間、(5)連絡体制、(6)ターミナル内の対応、(7)交通手段、(8)情報提供の8項目。いずれも通常の運航体制を保ち、旅客対応についても今回の事態から向上を目指すもの。NAA側でも、「まだ冬は続いている」との認識から、今後の降雪時には一段と高い動きを目指す。

 旅客対応の面では(5)から(8)について。今回はNAAと航空会社間の連絡体制について有機的に動かなかった点もあり、空港全体の状況把握について関係者が1ヶ所に集まり情報を集約、伝達する。さらに、最悪の事態となる空港内に旅客滞在に備え、非常食1万食、寝袋1万枚を確保したほか、機内用毛布備蓄5000枚を増強し、空港内の飲食施設の営業時間の延長などについて、緊急時の対応強化を要請する。
 交通手段の確保については、一部の旅行会社からは鉄道などで東京都内等への移動も考えられるとの意見もあるが、これについては過去の深夜の対応などでも鉄道側が運用面を考慮して実施しておらず、今後についても期待は薄い。また、発生当日の対応では困難でることも考慮した上で、バス・タクシーなど臨時の交通手段確保について関係者間で協議する。
 また、ホームページでも航空各社の離着陸情報を提供していたが、今回はこれが機能しなかった反省を踏まえ、マスコミ等を活用した広報、NAAホームページなどで遅延、欠航見通しの正確な情報提供について対応していく。


 なお、(1)は成田空港の融雪機保有台数は33台と国内の他空港と比べると台数は多いものの、航空会社がさらに4台の増配備を実施。さらに、今回の事案ではスポット外での除雪場所の確保により、体制を強化。(2)のダイバートも実施する場合の前提条件について関係者で調整する。(3)については、着陸しても降機できない旅客が大勢いたことから、滑走路・誘導路などでの降機ができないことから安全な場所での降機方法について検討を進める。