加・ビクトリア、新渡戸稲造記念庭園が誕生、盛岡市姉妹都市20周年一環

  • 2005年9月14日
 カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州のビクトリアにこのほど、新渡戸稲造記念庭園が誕生した。これはロイヤルジュビリー病院で新渡戸氏が亡くなったことから、ビクトリア市と新渡戸氏生誕の地である盛岡市が姉妹都市提携を締結。今年、姉妹都市友好20周年を迎え、記念事業の一環として病院敷地内に建つ新渡戸氏の記念石碑を庭園に移動。このほど盛岡から100名を越す市民が訪問し再落成式が行われた。デザインはビクトリア在住の園芸家で園芸療法士のポール・アリソン氏、盛岡市「豊香園」の造園家の藤村孝史氏が共同で担当し、製作資金はビクトリア市と盛岡市などからの募金で作られた。
 庭園は日本庭園の芸術性や様式を取り入れたバウハウスタイルで、面積は約1000平方メートル。日本列島をかたどる池、盛岡市を流れる川に似せた三本の小川や橋を配置。日本列島の盛岡の位置には再落成式で記念石碑が置かれた。新渡戸氏が好んだ梅や萩、岩手県の木である桐、盛岡市の花のしょうぶなども植えられている。水琴窟を置くなど、音の演出をするなど、工夫を施した。

 「新渡戸氏の功績を称えると共に、盛岡市とビクトリア市との絆の強化を現わし、また、病院患者やスタッフ、そして近隣の人々が寛げる空間」とポール氏。この庭園が「われ太平洋の橋とならん」の新渡戸氏の言葉を反映させたいという。
 現在、病院内のそのほか2ヶ所においても庭園作りを進めており、参加コミュニティー型庭園と題し、地域住民や病院関係者をはじめ、盛岡など日本からの訪問者も事前に連絡すれば庭園作りに携わることができる。

▽園芸療法を取り入れ体験重視のツアー実施、日本/カナダ間繋がりも紹介
 ポール氏はビクトリアにおいて、みずからツアーに参加する園芸療法スタディーツアーなどを実施している。園芸療法とはポール氏によると「園芸またはガーデニング活動に重点をおき、行われる治療プロセス」だ。ツアーでは園芸療法の体験ツアーのほか、実際に庭園作りコース、ラベンダーファームでの摘み取りやアロマセラピーも用意。また、ビクトリアにあるハートリーパーク日本庭園、ブチャートガーデン日本庭園、新渡戸稲造記念庭園を訪問し、ガーデングを通して日本とカナダ西海岸の歴史的な繋がりを探るツアーも設定している。そのほか、地ビールやワイン、土地の味など、体験を多く盛り込んだツアーもある。日本からは既に看護婦の研修旅行、医療関係者などが研修として訪問している。「母娘や主婦から医療関係者まで、さまざまなツアーのアレンジが可能」とポール氏は語っている。