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中国、ビザ全土拡大を契機に日中双方向の交流新時代に期待

  • 2005年7月24日
 25日から団体旅行訪日ビザの発給対象地域の拡大を受け、中国国家観光局局長の邵(キ)偉氏を筆頭に観光局、旅行会社など関係者も来日、中国国家観光局、国土交通省の共催で中日観光交流促進セミナーを開催した。邵氏は「中国は5000年の歴史を持つ国。31ヶ所の世界遺産が悠久の歴史、文化を代表する。日本では愛・地球博の開催など近代的な科学技術は観光客に魅力的」と日中の観光における魅力をそれぞれ評価。今後は2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博の開催を控え、国土交通大臣の北側一雄氏と既に観光についての定期的な話し合いをしていくことに言及し、「今回のビザ拡大も万博が契機だ」として五輪、万博など「イベントの開催で観光業は発展する」と力説。「中国は安全で活力ある観光地。より多くの人が中国に来ていただくようお願いしたい」と邵氏は挨拶した。
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 また、セミナーに参加した二階氏は「観光局局長が多くの観光関係者と共に日本においでいただき、歓迎する」とした上で、日本と中国は「鑑真和上、空海など、古くから強い絆。高野山は現在、世界遺産となったが基は中国にある」として、今回のビザ拡大で、修学旅行の拡大などに期待をしめし、「新たな歴史のページをめくる決意」と語る。同じく挨拶に立った国土交通省事務次官の岩村敬氏は「4月以降に政治的な問題で観光にはかげりが見られるが、互いに未来志向の立場から、こういう時期にこそ観光を深めるべきだ」という。また、日・中の旅行関係者に「新たな制度を利用し、日中観光の新しい時代を築いて頂きたい」と期待感を示した。

 午前中に開催されたセミナーでは、北京市旅遊局、上海市旅遊委員会、雲南省観光局がそれぞれの観光プロジェクトを紹介。北京市は08年のオリンピック開催に向け、期間中に55万ベッドが必要とされることから、現在の633軒から920軒(うち、5ッ星40軒、4ッ星80軒、3ッ星800軒)で23万ベッド、さらにユースホステルなど4000軒を含め30万ベッドで対応するとして、日本からの投資についても期待している。また、交通網の整備についても、空港機能の拡張、高速道路を新たに8本整備するほか、鉄道路線を延長するなど、開催に向けて施設の機能性を向上する方針だ。
 また、上海は既にスターウッド、マリオットなど外資系ホテルを含み362軒、6万室、12万ベッドの提供が可能。さらに3000軒、30万ベッドの旅館設備があるが、EXPOまでに20軒のホテルが進出する予定。現在、上海市内の国際級ホテルの平均稼働率は7割超で推移している。空港を利用する旅客も浦東、虹橋あわせ、昨年は3591万人、今年は4200万人と右肩上がりの状況は続く。こうした旅客増の傾向を踏まえ、さらに地下鉄、鉄道などの建設を進める。観光素材としても、テーマ性の高い銀行博物館、鉄道博物館など、次々とオープン、また予定しているほか、美容、ショッピング、コンベンションなどの特徴をアピールする。
 雲南省観光局は大メコン川構想がベトナム、ラオスなど各国と協力して観光地として開発されていることについて、開発が進んでおり、今後の訪問者の増加に向けて期待できる素材としており、改めて力点を置いて開発する計画だ。

 夜には旅行・航空関係者のほか、政治家らが参加し、レセプションを開催。邵氏は「両国の相互理解、交流、健全な関係の構築には意義深いこと。昨年は4176万人の中国への訪問者を受け入れた。また、2010年までには5000万人の中国人が海外旅行へ出かけ、世界観光機関(WTO)は2020年までに世界第4位の旅行者の送り出す国という予測もある」と中国のイン・アウトの潜在力を披露。日中間については、2004年は述べ人数で430万人が双方を往来、日中間の航空路線は週1002便が運航され、今年は特に愛・地球博の関心が高い。こうした中で、「先ごろ、近畿日本ツーリスト、阪急交通社に対する独資法人の設立、日立ツーリスト、トヨタツーリスト、NOEの駐在事務所の設立許可した」と邵氏は語り、こうした方策で日本と中国の観光交流が太くなることで「観光が将来、特別な役割を果たすことを期待する」と新たな時代の到来を強く訴えた。

 来賓で駐日中国大使の王毅氏が登壇、「(ビザ拡大という)新しい局面に観光の拡大は両国の雰囲気を良くし、関係の改善に繋がる」と現在の状況が改善に向け、日本側の措置が貢献するとの考えを示す。さらに、会場の日本の観光関係者に「中国の悠久の歴史を伝え、中国に来ていただき、ご自分の目で日中の交流を感じて欲しい」と語った。さらに、国土交通大臣の北側一雄氏は「これから大交流時代の幕開け。官民を挙げた協力をお願いする」とした。
 なお、自由民主党幹事長の武部勤氏、参議院議長の扇千景氏、公明党幹事長の冬柴鉄三氏、民主党前代表の鳩山由紀夫氏、内閣官房長官の細田博之氏が登壇したほか、自民党で全国旅行業協会会長の二階俊博氏が乾杯するなど、日本側の政治家も多数、駆けつけた。