マリアナ知事、JLに再考を促すも、新規路線の就航にも手を打つ

  • 2005年6月17日
 北マリアナ諸島連邦政府知事のジュアン・N・ババウダ氏は17日、旅行会社と現況について懇談したほか、日本航空(JL)に改めてサイパン線の撤退計画を回避するよう申し入れた。ババウダ氏の来日はJLがサイパン線の下期からの撤退を計画している旨を明らかにしてから2回目。今回の来日はJLの撤退が明らかになる以前から予定されていたマリアナ・ツーリズム・サミットへの出席で、議題は当初、ピーク時に比べて減少する供給座席数の問題であったが、急遽変更。ババウダ氏はJLの撤退は日本とサイパンの旅行業界に壊滅的な打撃を及ぼすことから、17日に改めてJLの首脳部に再考を促すこと、JLが撤退した場合に補充する航空座席についての熟考、航空・旅行各社にインセンティブを新たな提供する、などの施策を表明した。
 インセンティブは新規の路線を就航した場合に適用するもので、空港の着陸、離陸料等々の費用を半額とするもので200万米ドルの予算を議会で既に可決。知事も署名済みで、既に予算の執行も可能だ。マリアナ側の説明ではこの適用により、毎月5万米ドルの節減となる。また、マリアナ政府観光局(MVA)の補正予算として航空会社と旅行会社を対象として送客人数ベースでの補助金として100万米ドルを用意。今後も日本からの訪問者が継続するような体制作りを進めている。ただし、こうした施策は現在のJL便が下期にも運航を継続する場合には適用されない。
 マリアナ政府観光局(MVA)によると、会計年度ベース(10月〜9月)での日本人訪問者数は昨年約38万人。ピークの1997年とは若干の開きがあるものの、成田線では89%、関西線では82%のロードファクターがあり、「高い搭乗率を保っている」との強い主張をする。ただし、17日のトラベルサミットでも、イールドが低い点は議論にのぼった。ただし、マリアナ現地サイドとしては、「価格はあくまでも発地の問題。デスティネーション競争の中で安い料金が出ているほか、ウェブサイトなどで突発的な価格が出てくると市場全体の価格に影響を与えている」(関係者)などとして、受け地では関知すべき問題ではないとの姿勢だ。
 また、MVA局長のビッキー・ベナベンテ氏は「今回の危機をチャンスと捉え、マリアナの新たなブランドを構築したい。日本に新しいマリアナを伝える」として、マリアナの持つ長所だけでなく、課題を解決していくことでデスティネーション競争が激しい現在を乗り切る考えも示した。