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現地報告、スマトラ沖地震と津波の影響、マレーシア・ランカウイ島(3)

  • 2005年1月15日
<ランカウイ島発 鈴木次郎> ランカウイ島の死者は1名。負傷者は4名。ランカウイ島全体では島の西側の漁村と2軒のホテルで津波が襲ったほか、パンタイコックというクルーザーが停泊するマリーナと中心街のクア近くに停泊する漁船が互いにぶつかり沈没したことで、現在は既に復旧している。12月26日の12時15分に第一波、12時30分に第二波が襲った。島内で最も大きい被害であったクアラ・テリヤンという漁村は左に防波堤、右には海岸線に高い岸壁という地形から、波が集中して襲ったようだ。津波発生の26日は道路の通行が出来なかったものの、翌日から通行が再開。訪れた15日時点でボーイスカウト達が清掃作業を行っている様子も見られた。
 ランカウイ島で津波の影響があったホテルは島の西側に位置するメリタス・ペランギ・ビーチ・リゾート&スパとカサ・デル・マーと隣り合う2軒。メリタス・ペランギ・ビーチは津波当日、宿泊客、客室内に津波の影響は無かったものの、空調の室外機が地面に置いてあったことから一部が破損し、宿泊客を他のホテルに移動するなどで対応。カサ・デル・マーは波が押し寄せ、敷地内に泥をかぶったものの、宿泊客が砂を運び出すなどの作業を手伝ったとのことで、夕方にはプールを除き復旧したという。この2軒の大きな違いはホテル敷地の防波堤。メリタスは砂の防波堤が一部あったところもあるが、ない部分もある。一方で、カサ・デル・マーは敷地前にコンクリートで約60センチから70センチ程度の壁があり、衝撃を吸収したようだ。

 ランカウイ観光局のワン・シャリル・イスマル氏は「漁村の被害はあったものの、観光地の被害はなく、『business as usual(営業は通常通り)』だ」と強調。今後のプロモーションについては、「既にオーストラリア、中国のメディアを招聘しており、今後は韓国をはじめとして各国のメディアに現状を知らせる。また、21日からアセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF2005)の開催が予定。総勢2000名程度をアジア諸国から迎え入れることから、「これを機会にランカウイ島の安全をアピールしたい」と語る。ただし、現状はキャンセルが多く、HISランカウイ支店のガイドであるロー・ウェン氏は、「約70%ほどはキャンセルになった」という。各ホテルのキャンセルの状況については、カサ・デル・マーがFITを中心として、客室数が29室と小規模であることやリピーター客が中心で、14日に予約する日本人も予定通り宿泊するなど「ほとんどない」という以外は、影響を受けている。メリタス・ペランギは年末年始が100%に近い状態から、30%から40%の状況、シェラトン・ランカウイ・ビーチ・リゾートは日本人シェアが約40%と高く、また、このところのキャンセルが響きホテル稼働率68%と全体に影響を及ぼしている。島の北側に位置するタンジュン・ルー・リゾートは地震当日のビーチ・アクティビティを中止していたものの、その他は全く影響ない。こちらは日本からのキャンセルが多く、地震翌日からおおよそ4組から5組の到着を予定していたが、これまで1組ほどに留まり、直接津波の被害が無いホテルにも風評被害として表面化している。

 ただし、予定通りに来島した人から「良かった」という声もある。メリタス・ペランギ・ビーチ・リゾート&スパに14日から宿泊する野村さんは、「訪れる前、心配はあった。日本の報道で疫病が心配とのことだったが、訪問前に現地からメールで連絡をもらい、安心したことが訪れる決め手となった」と話す。もともと、ランカウイがアジアのビーチリゾートの一番であることをインターネット等で調べ、「釣りやカヤックなどを楽しむ」ことが目的で来島。出発前は「津波の痕跡を見ることが出来るかも知れない」と思ったものの、「何も無かった」と語り、「残りの旅行を満喫したい」と語ってくれた。