JATAマネジメントセミナー、クルーズ人口は今後の伸びが期待大
日本旅行業協会(JATA)は「我が国をとりまく世界のクルーズツアーの状況と旅行業者の販売拡大策について」と題し、第5回マネジメントセミナーを開催した。講師にはパシフィックツアーシステムズ・クルーズ&レジャー営業部部長で、日本船業協会(JASTA)理事、日本外航客船協会(JOPA)委員を務める祖師英夫氏が現在の世界的なクルーズ人口の増加や、PTSのクルーズ販売策を披露し、今後の旅行会社のクルーズへの対応を提案した。
日本のクルーズ人口は世界最大のクルーズ人口を抱えるアメリカと比較すると、1990年から2001年の伸び率はアメリカが100%増に対し、日本は0.1%増に留まる。この一因にアメリカはマス・マーケットへの訴求に成功したが、日本では十分ではないことを指摘。しかし、祖師氏は「諸外国を見ると、日本でも海外渡航者数の約5%はクルーズ人口となっても妥当だ。現在の海外渡航者数が2000万人に到達すると仮定すると、約100万人はクルーズ人口に成り得るし、高い潜在需要がある」と語った。アメリカのクルーズ人口が増加した理由は、豪華客船から手頃な料金のクルーズ船まで、幅広い選択肢を消費者が持つこと、毎週土曜日にマイアミ発のクルーズ船が就航するなど定点定期でクルーズが可能であることなど、幅広い客層の取り込みに成功していると分析。ただし昨年、PTSで販売したミラノ発着のナポリ、チュニス、パルマ・デ・マヨルカ、マルセイユ、ジェノバなどを巡るフライ&クルーズ商品は「120名を集客し、このうち約50%はクルーズが初めての方であった」(祖師氏)ことから、日本市場でも販売方法の工夫で高い潜在需要を引き出すことができる例も紹介した。
「クルーズ販売の追い風」
今後のクルーズの販売には追い風も吹く。まず、2004年はキュナード社のクィーン・メリー2世号を筆頭に12隻の大型客船が就航を予定しており、合計で約3万ベッド、150万人の需要を受け入れることが可能だ。取消料を補う保険を取扱うことを条件として標準旅行約款が定める時期以前に取消料を収受できるフライ&クルーズ約款の改定、3泊から4泊でもクルーズを楽しむことが可能な状況であることから、通常の旅行の一部として手配することも可能であることなど、「クルーズを取扱う旅行会社には大きなメリットがある」(祖師氏)という。加えて、これまでPTSのお客の96%が旅行に満足と回答し、リピーター率も高いことから旅行会社の収益性、海外旅行市場において求められる高品質の商品の提供、船会社に電話することで食事やイベントなどの手配も済むメリットなどから、祖師氏は「クルーズ商品を取扱う最大の好機である」という。
このような状況を受け、PTSクルーズデスクでは販売の強化を目的に顧客情報の徹底的な分析とともに、CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント:顧客管理)の向上を図っている。具体的には5000人ほどの優良顧客のうち、売上げの80%を占める500名の満足度の向上を狙い、社内での情報の共有化を図り、説明会の開催で顧客との密な関係を構築している。新規マーケットの開発では、500名の超優良顧客の紹介キャンペーンのほか、PTSが展開する店舗それぞれの優良顧客へのダイレクト・メールの送付や、クルーズ商品の説明が可能なパートナーサロンを設置する。また、PTSは20数社と業務提携を結ぶことで、過当な値下げ競争を防ぎ、販売力の強化と相互に利益の確保する取り組みを行っており、今後もクルーズ販売を手掛ける企業と提携する意向を明らかにした。
ただし、新規に参入する場合、最も重要なことは「フライ&クルーズ商品をいわゆるこれまでのイメージである『クルーズ』商品として売るのではなく、観光を最も高い優先順位として前面に打ち出すなど、これまでのクルーズの既成概念を打ち崩すことが重要」とのヒントを述べた。このポイントは、他社との差別化を計るだけでなく、クルーズ商品の既成イメージを変えることで潜在的な需要を引き出す可能性が高く、上述のミラノ発着のフライ&クルーズはひとつの参考事例となる。
日本のクルーズ人口は世界最大のクルーズ人口を抱えるアメリカと比較すると、1990年から2001年の伸び率はアメリカが100%増に対し、日本は0.1%増に留まる。この一因にアメリカはマス・マーケットへの訴求に成功したが、日本では十分ではないことを指摘。しかし、祖師氏は「諸外国を見ると、日本でも海外渡航者数の約5%はクルーズ人口となっても妥当だ。現在の海外渡航者数が2000万人に到達すると仮定すると、約100万人はクルーズ人口に成り得るし、高い潜在需要がある」と語った。アメリカのクルーズ人口が増加した理由は、豪華客船から手頃な料金のクルーズ船まで、幅広い選択肢を消費者が持つこと、毎週土曜日にマイアミ発のクルーズ船が就航するなど定点定期でクルーズが可能であることなど、幅広い客層の取り込みに成功していると分析。ただし昨年、PTSで販売したミラノ発着のナポリ、チュニス、パルマ・デ・マヨルカ、マルセイユ、ジェノバなどを巡るフライ&クルーズ商品は「120名を集客し、このうち約50%はクルーズが初めての方であった」(祖師氏)ことから、日本市場でも販売方法の工夫で高い潜在需要を引き出すことができる例も紹介した。
「クルーズ販売の追い風」
今後のクルーズの販売には追い風も吹く。まず、2004年はキュナード社のクィーン・メリー2世号を筆頭に12隻の大型客船が就航を予定しており、合計で約3万ベッド、150万人の需要を受け入れることが可能だ。取消料を補う保険を取扱うことを条件として標準旅行約款が定める時期以前に取消料を収受できるフライ&クルーズ約款の改定、3泊から4泊でもクルーズを楽しむことが可能な状況であることから、通常の旅行の一部として手配することも可能であることなど、「クルーズを取扱う旅行会社には大きなメリットがある」(祖師氏)という。加えて、これまでPTSのお客の96%が旅行に満足と回答し、リピーター率も高いことから旅行会社の収益性、海外旅行市場において求められる高品質の商品の提供、船会社に電話することで食事やイベントなどの手配も済むメリットなどから、祖師氏は「クルーズ商品を取扱う最大の好機である」という。
このような状況を受け、PTSクルーズデスクでは販売の強化を目的に顧客情報の徹底的な分析とともに、CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント:顧客管理)の向上を図っている。具体的には5000人ほどの優良顧客のうち、売上げの80%を占める500名の満足度の向上を狙い、社内での情報の共有化を図り、説明会の開催で顧客との密な関係を構築している。新規マーケットの開発では、500名の超優良顧客の紹介キャンペーンのほか、PTSが展開する店舗それぞれの優良顧客へのダイレクト・メールの送付や、クルーズ商品の説明が可能なパートナーサロンを設置する。また、PTSは20数社と業務提携を結ぶことで、過当な値下げ競争を防ぎ、販売力の強化と相互に利益の確保する取り組みを行っており、今後もクルーズ販売を手掛ける企業と提携する意向を明らかにした。
ただし、新規に参入する場合、最も重要なことは「フライ&クルーズ商品をいわゆるこれまでのイメージである『クルーズ』商品として売るのではなく、観光を最も高い優先順位として前面に打ち出すなど、これまでのクルーズの既成概念を打ち崩すことが重要」とのヒントを述べた。このポイントは、他社との差別化を計るだけでなく、クルーズ商品の既成イメージを変えることで潜在的な需要を引き出す可能性が高く、上述のミラノ発着のフライ&クルーズはひとつの参考事例となる。