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動画コンテンツと旅行ECサイト、トラベラーズTVに聞く

  • 2003年10月17日
 「インターネット」と「旅行」をキーワードに週末特集を配信して今回で第3回。
既にお届けした2回は、旅行ECの可能性を考えましたが、今回は旅行情報を中
心に旅行ECの将来を考えます。お話を頂いたのは(株)エキスプレス・旅行事業
部トラベラーズTV、WEBマネージャーの藤田和久氏です。「トラベラーズTV」は
スカイパーフェクTVの275チャンネルで海外旅行情報を中心とした旅行英会話
番組「TRAVELLERS ENGLISH」、ハワイでのアクティビティ、最新情報を提供す
る「アロハ天国」など、視聴者から厚い支持を受ける番組を放映している。

−御社の主力事業「トラベラーズTV」と、ホームページの関係は?
藤田氏:はじめは英会話番組がチャンネルコンセプトでした。実践的でユーモ
ラス溢れるレッスンを目指し、海外ロケを行うことが多く、海外旅行の情報を
蓄積していたことが、「トラベラーズTV」の始まりです。2001年7月から現在の
名前で放送を始めた時から、積極的にインターネットを利用しようと考えてい
ました。世間ではちょうど、ブロードバンドが普及し、携帯電話でのメール送
信やインターネット・アクセスが社会的現象となっていました。このような状
況を受け、テレビ番組、ホームページ、携帯電話を有機的に連動する放送を当
初から計画していました。
 例えば、第1土曜日の午後11時から放映するトーク番組「ぜんタネ」。生放送
中に視聴者から携帯電話でメールを頂き、紹介することで旅に関する話題で盛
り上がると共に、視聴者と番組の制作側が直接、交流を図っております。また、
番組終了後には、出演するぜんじろう氏、種浦マサオ氏の楽屋話をホームペー
ジに動画を公開し、視聴者は番組後の出演者の談話で盛り上がります。

−ホームページに公開するコンテンツは、TV番組と同じものとお聞きしました。
藤田氏:ブロードバンド化が進んだとはいえ、30分の番組をそのままインター
ネットで配信することは、視聴者が閲覧する際の負担を強いることになります。
配信側もサーバー(注:動画を蓄積するコンピューター)の負荷が高くなります。
このような理由から、紹介する動画ごとに分割して、3分から5分程度の番組を
主力としてホームページに公開しています。
 また、番組を制作する上でも工夫をしております。放映する番組は自主制作
の占める割合が高く、インターネット上の動画配信にあたり、権利処理の問題
が解消しやすいのです。また、楽曲も(社)日本音楽著作権協会(JASRAQ)で保護
される音源は使いません。こうして、ホームページ上で配信可能なコンテンツ
が出来上がります。現在では、ブロードバンド・コンテンツのノウハウには相
当の蓄積があります。

−現在、公開するコンテンツはどのようなものですか?
藤田氏:消費者向けのコンテンツでは、世界のオプショナル・ツアーを紹介し
ております。例えば、ビーチリゾートでのアクティビティであるバナナ・ボー
トの楽しさは映像が最適な手段です。歓声や水しぶきをあげる様子から「楽し
い」や、「やってみたい」という連想を導くことで、旅行意欲を掻き立てる。こ
れが、実際に旅行の販売に結びつくポイントです。現在、格安航空券やパッケ
ージツアーを販売するホームページ「EX-TOUR」と提携し、テレビ番組と連動し
た動画コンテンツ、また、宿泊系の旅行ECサイトへコンテンツの提供しており
ます。旅行商品の購入前や、旅館、ホテルの映像を消費者が予約する前に視聴
し、概要を掴む判断材料として利用して頂いているようです。
 消費者が旅行ECサイトの動画コンテンツを視聴する機会が多くなり、販売に
繋がる。この動向が定着すると、消費者の購買行動に至る必須のコンテンツと
して動画が位置付けられるでしょう。現在は、旅行ECサイトと旅行のブロード
バンド・コンテンツの関係は発展段階にあると思います。今後は相互の関係が
強まるので、豊富なコンテンツの蓄積が今まで以上に重要となるでしょう。

−旅行ブロードバンド・コンテンツと旅行ECサイトの将来を占って下さい。
藤田氏:わかりやすいコンテンツの提供はいっそう、重要になるでしょう。こ
れに加え、番組の作り手である制作者と受け手である視聴者は、1つの動画情
報に対して意見を交換する場、いわばコミュニティを形成していきます。コミ
ュニティ内の情報の精度はいっそう高まりますし、実際に訪れた方の意見を参
考にして、一人ひとりの旅行意欲の向上が期待できます。
 希望的な観測を含めると、将来はいくつかある動画閲覧ソフトから、購入し
たい商品のホームページへ移動する形態に変わる可能性があります。旅行やス
ポーツ番組などからECサイトに直接リンクする。つまり、現在のホームページ
が主、動画閲覧ソフトが従という主従関係が逆転すると、旅行商品の販売は映
像を武器として直接訴求型のコンテンツとして、旅行ECは画期的に伸びる可能
性を秘めているでしょう。

−ありがとうございました。