タイ国政府観光庁のシリワン総裁が来日、SARSの安全を強調

  • 2003年4月28日
 新型肺炎(SARS)問題がアジアへの訪観光客数に大きな影を落としているが、タイ国も同様で、急遽来日を決めたタイ国政府観光庁(TAT)のジュタマ・シリワン総裁は5月1日都内で記者会見し、タイへの観光旅行の安全性を強く訴えるとともに、新たな観光促進キャンペーンを実施し、旅行者の呼び戻しに全力を挙げていく考えを明らかにした。
 シリワン総裁はSARSのタイ国内における現状について、「これまでSARS患者は7名で2名が死亡し5名は回復している。しかしいずれも他国において感染したもので、現在、タイにおいてSARSの流行はみとめられていない」と語った。「タイ政府は感染地域に指定された国からの入国に対し検疫を実施、感染の疑いがある者は隔離し、治療にあたるなど迅速な医療体制、保険衛生措置をとった。新たな患者はみられず、感染地域に指定されないなど世界保健機構(WHO)からSARSの流行を制圧した国として高く評価されている」と強調した。また、同席した医師のブンラート・サクチャイナーノシ医学博士は「空港などで厳格な検査体制を整え、SARSの感染を未然に防いでいる」としてタイ国内における厳格な検査体制を紹介した。
 ただし、SARSがアジア全体の旅行の手控えを招いているのは事実である。タイへの日本人旅行者も3月は前年比14%減の8万4332人、4月は21日現在で36%減の3万5200人に留まっている。このため、需要喚起策として「Thailand Smiles Plus(タイ・スマイルズ・プラス)」キャンペーンを5月から10月まで実施することを新たに決めた。
 キャンペーン内容は、1泊40ドルから140ドルのホテル92軒において1泊するとさらに1泊の宿泊が無料となる特典、「Big Smile Card(ビッグ・スマイル・カード)」を利用するとゴルフ場、レストランなどで20〜50%の割引が受けられるもの。このカードは、バンコクやチェンマイ、プーケットなどの各空港で配布しているが、旅行会社でも希望すれば事前に渡すことが可能である。
 また、TATはこのキャンペーンの利用、および販売促進に協力する旅行会社への支援策を検討している。シリワン総裁は、「タイの観光関係者の話では、予約状況では6月から旅行者が戻ってきているとの観測があり、こうした取り組みで早急に旅行需要の回復を図りたい」としている。