JTB、インバウンド市場に本腰、国内営業所を100ヶ所へ大幅強化

  • 2003年3月5日
 ジェイティービー(JTB)は2003年度から拡大が想定されるインバウンド市場に本腰を入れる方針を明らかにした。これは国がインバウンド観光に対して積極的な方針を明らかにしたことを受けた戦略。JTBは90年前の設立当初からインバウンドを手掛けており、2001年実績では取扱人数30万人、取扱額170億円であり、2002年度は取扱人数45万人、取扱額215億円を見込む。神原昭夫常務取締役国際旅行事業部長は「国がインバウンド観光の推進に本腰を入れたことをきっかけに日本の観光が変わる。JTBはその先頭に立って旅行促進にあたる」と意気込みを表明、「旅行商品の造成から市場特性を把握したマーケティングを展開し、多面的に同時進行で事業を展開する」と言及した。
 具体的な方策としては営業面、インターネット、訪日外国人向けの旅行商品の拡充を主に行う。営業面では国内の営業所を現行の6ヶ所から県庁所在地の支店を中心に100ヶ所へと大幅に強化し、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)に関連する官庁・地方自治体のイベント、外資系企業のインセンティブ・ツアー、国際会議の受注を狙う。海外での営業は中国からの訪日旅行に重点を置き、北京、上海に新たに訪日旅行担当者を配置し、現在の広州を加え3ヶ所で当面は中国の旅行会社へ積極的に提案を行う。これらにより、海外と国内の営業体制が「6:4」の比率から、「5:5」の割合にしたい考え。また、海外での営業の強化は「将来的な方向性に留まるもの」としながらも、「訪日旅行のみならずアメリカからヨーロッパへの旅行など海外の旅行会社と競争力のあるビジネスを構築することが目標である」(営業企画部・国際旅行営業推進担当マネージャー・吉村久夫氏)という。
 インターネットではBtoB、BtoC分野とも受注の増加を加速したい考え。BtoBでは海外旅行会社の販売において「JAPAN HOTEL NETWORK」などアジアを中心とする宿泊施設の提供を促進する。またBtoC分野では、現在日本人向けに提供する「セレクト3000」の旅館などを中心にインターネットでの予約を強化する。旅館の予約画面では旅館の説明やランク付けなど訪日客に対してわかりやすい表記を提供する方針であり、細部を詰めて検討している段階。BtoC分野では2005年度に20億円の取扱を目標とする。
 旅行商品の拡充に関しては、先ごろサンライズツアーでリピーター向け商品を拡充する方針を発表しており(2月4日「日刊トラベルビジョン」にて既報)、これに加え日本人向けの国内旅行商品「エース」を訪日外客向けにアレンジ、あるいは「エース」を現行のままでアジア市場向けに販売する。先ごろ中国から旧正月に日本を旅行した50名程度の団体は、「エース」商品で新幹線「はやて」を利用し十和田湖を巡るツアーに参加しており、また北海道を巡るツアーに海外の旅行客が日本人客に混じり、双方とも互いに交流ができたことで好評を得ているという。今後はツアーに同行する添乗員のガイドの言葉の問題、旅行客の個別の興味にマッチしたツアーの企画などマス・ツーリズムだけでなくツアーの内容の充実、差別化、サービスの拡充などを図るSIT商品も推進する。これらの施策により、2005年度には2002年度の予想取扱額215億円の63%増となる350億円、取扱人数70万人を取扱目標とする。