旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

日本人渡豪者100万人目指し「V1M」戦略策定、日豪両国で活動開始

  • 2002年10月15日
 オーストラリア政府観光局(ATC)は2003年から、日本における長期戦略プラン「Vision One Million(V1M)」を開始する。同プランは2010年までに訪豪日本人旅行者数を100万人に達成させることを目的に作成されたもので、オーストラリア政府のほか、オーストラリアの旅行業界各社からなる「ジャパン・ツーリズム・インダストリー・グループ(JTIG)」に加え、日本でも旅行会社や関連団体11社が「ジャパン・オーストラリア・アドバイザリー・グループ(JAAG)」を発足し、官民一体でプロジェクトを推進していく。一つのデスティネーションに対して長期的に旅行商品やデスティネーションを開発しようという試みは日本では初めてのこと。
 来日したATC本局局長ケン・バウンディ氏は「1980年代に日本人渡豪者が増加し、オーストラリアの経済発展に寄与した。この2年間は過去の上昇率に比べて停滞しているが日本は引き続き重要な市場である」と、日本で同プランを実施する理由を語り、「官民一体となって推進し、JAAGとオーストラリアの利益供与を促し、持続可能な観光発展を目指す」と意欲を語った。また、JAAGからはメンバーを代表してジャルパック代表取締役社長で日本旅行業協会会長の新町光示氏が「旅行動向は変化し、現在の旅行者は日本で味わえない本物の体験を求める傾向が強い。オーストラリアにはこのポテンシャルがあるが、すべてが揃っていることは焦点が絞りにくくマーケティングが難しい。オーストラリアのイメージを顕在化することが今後の課題。オーストラリアと一体となって日本人に受け入れられる旅行をつくりたい」と語った。
 ATCはV1M推進のため日本人旅行者が何を求めているか、それに適した商品の作成が可能かなどを把握する目的で、日本で旅行セグメント別に調査を実施した。今後は調査結果に基づき、商品開発や既存商品の刷新、新デスティネーションの開発などの業界戦略、既存客層に加えてファミリーや修学旅行など新客層へのターゲットや著名人起用によるマーケティングなどの消費者戦略、座席供給量増加のための航空戦略の3分野において2003年1月から正式にプロジェクトを開始、早ければ同年の下期に向けてから新デスティネーションを開発する予定だ。現在、オーストラリアを訪れる日本人旅行者数は約70万人。そのうちの70%をJAAGのメンバーが送客しており「JAAGの協力で100万人達成できると確信している」(バウディ氏)と期待している。
 なお、JAAGのメンバーは下記の通り。

▽ジャパン・オーストラリア・アドバイザリー・グループ
グローバルユースビューロー
エイチ・アイ・エス
阪急交通社
ジャルパック
日本旅行業協会
財団法人日本交通公社
ジェイティービー
JTBワールド
近畿日本ツーリスト
日本旅行
ワールド航空サービス(ABC順)