日本旅行、AFPグループのMediaConnectと新事業 海外発信から取材・商談まで支援

  • 2026年10月28日
MediaConnect
(左から)MediaConnect社のアンヌ・ブサリ代表、日本旅行の吉田圭吾社長

 日本旅行は10月28日、AFPグループのグローバルPR配信プラットフォームを運営するMediaConnect社と、戦略的アライアンスに関する覚書(MOU)を締結したと発表した。2027年1月から、日本各地の観光資源や文化、企業の技術・サービスなどを海外メディアに発信する事業を始める。情報発信を起点に、訪日誘客や商談、地域企業の海外展開につなげる考えだ。

 MediaConnect社のアンヌ・ブサリ代表によると、日本旅行との提携は同社にとって日本初のパートナーシップで、アジアでも初となる。

専用ページで情報を蓄積、記事制作から配信まで

 今回の提携では、MediaConnectのプラットフォーム内に日本旅行の専用ページを設ける。日本旅行が地域や企業の情報を掘り起こし、ストーリーとして編集したうえで記事を制作・掲載する。掲載内容は専用ページに蓄積し、海外のジャーナリストが後から日本の情報を探す際にも参照できるようにする。記事制作にはAFPの日本法人も協力する。

 日本旅行の吉田圭吾社長は、従来の地域情報の発信は単発で終わることが多く、海外向けのアーカイブとして残りにくかったと説明する。専用ページへの掲載に加え、対象市場を定めた海外ジャーナリストへのメール配信も行う。地域単独では接点を持ちにくい海外メディアに、継続的に情報を届ける基盤を目指す。

 発信する情報は、自然や観光施設など旅行関連に限らない。伝統工芸、食、芸能、文化、風習、地域企業の技術やサービス、教育機関の取り組みなども対象とする。吉田社長は「地域の魅力を掘り起こし、日本を訪れたくなるストーリーへと翻訳する」と述べた。

全国の拠点を生かし、発信後の取り組みも支援

 情報発信の先には、海外メディアの取材やバイヤーとの商談、海外旅行会社との連携、企業視察、物産品の紹介・販売支援などを想定する。日本旅行は、全国の営業拠点と地域との関係を生かし、発信を契機とする交流や事業機会の創出まで伴走する。

 地域や情報の選定は、まず日本旅行が関係を持つ自治体・DMOなどを中心に進める。質疑で吉田社長は、具体的な対象地域はまだ決まっていないと説明。各地の営業拠点が地域側と相談しながら広げていく方針を示した。

サウジアラビア向け発信で手応え

 日本旅行は、サウジアラビア政府投資省とのMOU締結時に、今回と同様の発信手法を先行して活用した。日本旅行によると、記事を英語、フランス語、アラビア語で制作し、欧州や英国、中東、北アフリカのジャーナリストに配信。約1万1400件の配信に対して開封率は37.7%、クリック率は14.6%となり、サウジアラビアの日刊紙「アルジャジーラ」にも記事が掲載されたという。

 吉田社長は、この取り組みを通じて、日本発の情報が海外で取り上げられる可能性を実感したと説明。発信基盤の構築を、訪日客の地方分散だけでなく、地域企業の海外展開や人・物の交流につなげたい考えを示した。

翻訳に加え、現地に届く切り口を提案

 アンヌ・ブサリ代表は、情報量が増えるなか、海外メディアに取り上げてもらうには翻訳だけでは足りず、対象となる記者や読者、文化に合わせた切り口や表現が必要だと説明した。発信するテーマを絞ること、時事性を踏まえたタイミング、数値データや写真・映像の活用も重要だという。

 ブサリ代表は、プラットフォームへの掲載に加え、AFP関連の配信網や報道機関が使うニュース配信システムなどを通じた情報流通、キャンペーンの閲覧・転載状況などのKPI把握についても説明した。情報の転載回数だけでなく、発信先が適切か、影響力のある媒体に届いたかといった「質」を重視する。また、AI検索で情報が引用・活用されたかを評価することも可能だとした。

 また、MediaConnect上で既に展開されている「Japan Connect」と今回の協業との違いについて、ブサリ代表は、Japan Connectは日本企業のCreative Linkが運営しており、同社との関係が日本旅行との提携につながったと説明した上で、今回の取り組みでは、日本旅行の地域ネットワークを通じて、より深く正確な情報を集め、海外に発信する窓口をつくるという。