globalWi-Fi
globalWi-Fi

旅行者は「最安値」から「納得」重視へ、スカイスキャナーが行動変化を分析 AI活用の動向も

 グローバル旅行アプリのスカイスキャナーは9月16日、日本航空(JAL)、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏を招き、「“価格以上の価値”とこれからの旅のカタチ」をテーマにメディア向けラウンドテーブルを開催した。円安や物価高が海外旅行市場の逆風となるなかでも、旅行者は単純に「最安値」を追うのではなく、移動時間や乗り継ぎ、旅程全体の満足度まで含めて、自分なりに納得できる選択肢を探すようになっているという。

 スカイスキャナーは、こうした旅行者の行動を「ロジタビ」と表現する。価格だけでなく時間や利便性を比較し、限られた予算と休暇を合理的に配分しながら満足度を高める旅行スタイルだ。JAL側からも、航空券と宿泊を自由に組み合わせるダイナミックパッケージへのシフトなど、消費者が自らの価値基準に応じて旅行を組み立てる傾向が指摘された。

航空券検索は堅調、3月は前年同月比43.4%増

 スカイスキャナーの検索データによると、日本市場の航空券検索数は2026年に入っても増加傾向を維持している。1~7月の前年同月比は、1月27.1%増、2月35.7%増、3月43.4%増、4月28.1%増、5月12.2%増、6月0.5%減、7月16.1%増となった。6月を除いて前年を上回り、海外旅行への関心自体は引き続き強いことを示した。

 一方で変化しているのが、旅行者の比較の仕方だ。

 スカイスキャナージャパンのコマーシャルリード/トラベルエキスパート、岡田健太郎氏は、旅行者について「感情や衝動だけでなく、データに基づいて判断し、コストパフォーマンスを論理的に最大化するスタイルが浮き彫りになっている」と説明。これを「ロジタビ」と位置付けた。

「乗り継ぎ」が節約手段から旅の付加価値に

 その変化を象徴するのが乗り継ぎ地だ。

 スカイスキャナーによると、乗り継ぎ地の前年比では韓国が18.7%増、米国が11.7%増、台湾が9.4%増、ベトナムが6.6%増。一方、タイは9.5%減、フィリピン12.0%減、カナダ15.5%減、UAEは31.5%減となった。同社は、乗り継ぎ地選びが遠距離のハブから近隣アジアのハブへと変化し、価格と利便性を比較する動きが強まっているとみる。

 鳥海氏は、従来は「運賃を抑えるため」という意味合いが強かった乗り継ぎそのものが、旅行の付加価値になりつつあると指摘した。例えばソウルや台北で長めの乗り継ぎ時間を取り、市内観光や1泊を組み込むことで「1回の旅行で2都市を楽しむ」旅程も可能になる。「直行便が一番の正解という考え方から自由になってきた」と話した。

コスパに加え「タイパ」、滞在日数も長期化

 時間の使い方に対する意識も強まっている。

 鳥海氏は、早朝便や深夜便を選ぶ理由について、単に価格が安いからではなく、限られた休日で現地滞在時間を最大化する意識が背景にあると説明した。リモートワークを組み合わせ、木曜夜に出発し、金曜は現地で仕事をした後に週末旅行へ移行するといったスタイルにも言及した。

パネルディスカッションに登壇するJALの小島史也氏(左)と航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏

 JALのWeb販売部1to1マーケティンググループ主任、小島史也氏も「コストパフォーマンスだけでなく、タイムパフォーマンスもかなり重視されている」と指摘。早朝・深夜便の活用で現地滞在時間を延ばすほか、ホテル代が高騰している都市では宿泊を1泊減らし、その予算を別の体験に振り向けることも「旅の価値を高める選択」になり得るとした。

 スカイスキャナーのデータでも滞在日数は伸びている。岡田氏によると、2026年1~7月は全ての月で前年同月を上回り、1月の平均4.5日から直近では5日まで長期化したという。

» 次ページ:旅行者は「約3カ月前」から比較、JALの戦略とAIが変える旅行検索