「人間中心のAI」と「地域の求心力」、Rakuten AI Optimism 2026から考える人口減少時代の観光

  • 2026年8月14日

人口が減るから地域が残らない、ではない

 一方、「人口減少時代の地域と観光の未来~『風の谷』という希望から考える~」と題したセッションでは、ベストセラー『イシューからはじめよ』や『シン・ニホン』などの著者で、2025年に『「風の谷」という希望』を刊行した安宅和人氏(慶應義塾大学環境情報学部教授、LINEヤフー シニアストラテジスト)と、楽天グループ専務執行役員の髙野芳行氏が、人口減少下で地域をどう存続させるかを議論した。

 髙野氏が提示したのは、旅行ビジネスの根幹に関わる問題だった。

 温泉地、山間部、離島、歴史的な町並みなど、日本の観光資源の多くは人口減少の影響を強く受ける地域にある。旅行者を呼び込む以前に、その地域自体が存続できなくなれば観光も成立しない。

 これに対し安宅氏は、人口減少そのものを単純な衰退とは捉えなかった。長寿化や教育期間の長期化などを背景とする「豊かさの結果」であり、人口が少なくなることだけが地域社会を維持できない理由ではないと指摘した。

人口減少を単純な衰退とは捉えず、地域が存続するための社会システムの再設計を訴えた安宅氏。

 江戸時代末期の日本は現在よりはるかに人口が少なかったにもかかわらず、全国各地で地域社会が成り立っていた。問題は人口の絶対数以上に、「人口増加を前提につくられた現在の社会システムを、そのまま人口の少ない地域に適用していること」にあるとの見方だ。

 安宅氏は、これを「地方対都市」ではなく、「密な空間」と「疎空間」の問題として捉える。

 人口密度の低い地域にも都市部と同じ仕様の道路や上下水道などを整備すれば、住民一人当たりの維持費は高くなる。人口減少時代には、生活の質を維持しながら、その地域の人口規模や環境に合ったインフラへ転換する必要があるという。

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