JAL、客室乗務員の飲酒事案で再発防止策 アサーション規定化と検査体制強化

  • 2026年7月20日

 日本航空(JAL)は2026年7月17日、広島発羽田行きJL252便に乗務予定だった客室乗務員からアルコールが検知された事案について、国土交通省航空局に再発防止策を提出した。出社前検査のオンライン化や、滞在先ホテルを出発する前に全乗務員の検査結果が0.00mg/Lであることを確認する手順を導入するほか、普段は飲酒しない社員を含む全社的な教育を進める。

 事案は2026年5月23日、広島空港発、羽田行きのJL252便で発生した。乗務予定だった客室乗務員2人が前夜、運航規程で定める飛行勤務開始12時間前以降もホテルラウンジで飲酒した。先任客室乗務員は翌朝の出社前検査でアルコールを検知したが会社に報告せず、ホテルでの検査を完了しないまま空港へ移動した。空港で再びアルコールが検知されたため乗務から外され、代替要員の手配により同便は42分遅れて出発した。

 日本航空は緊急対策として、5月27日から客室乗務員のステイ先での飲酒を禁止した。同日から、基地外ではホテルを出発する前に全員の事前検査完了を確認し、検査結果が全員0.00mg/Lとなるまでホテルを出発しない手順に改めた。

 検査体制では、7月17日から出社前検査をオンライン化し、実施期限を設定した。会社側がアルコールを検知した乗務員に加え、期限までに検査を実施していない乗務員もモニターし、アルコールの影響が疑われる乗務員を出社させない仕組みとする。

 教育面では、日常的に飲酒する社員だけでなく、「普段は飲まない人が偶発的な飲酒から多量飲酒に至るリスク」を重点項目に加える。外部専門家の助言を受け、体質への過信、ビンジドリンクの危険性、環境による自己コントロールの低下、判断力への影響などを学ぶ対面教育を、客室乗務員と運航乗務員について9月14日までに実施する。その他の社員にも11月30日までに展開する。

 7月中には、飲酒習慣の有無に応じた注意事項をまとめたガイドブックを全客室乗務員に配布し、9月上旬までに各自が過去と現在の飲酒習慣を振り返るセルフレビューを行う。教育とセルフレビューが客室乗務員、運航乗務員全員に実施されたかを各本部が確認する。

 現場で異常や規程違反の疑いを指摘する「アサーション」も安全規程に明文化した。職位や乗務歴にかかわらず疑問を声に出し、安全上の行動を止められる体制を目指す。指摘が受け入れられない場合には当直やアルコール担当部署へ連絡するほか、電話しにくい状況でも通報できるチャットアプリのワンタップ連絡手段を6月30日から運用している。

 先任客室乗務員については、責任や役割、仲間からの指摘を受け止める重要性、心理的負荷が高い状況での対応を学ぶ教育を実施する。既存の先任乗務員は8月までに教育を受け、所属長との同乗フライトで継続的にフォローする。新たに先任資格を取得する乗務員には10月から追加教育を組み込む。

 乗務離脱による遅延や欠航への心理的プレッシャーを軽減するため、空港発の早朝便など代替要員を確保しにくい便でも、可能な範囲で先任資格を持つ客室乗務員を複数配置する。乗務に適さない体調の場合、運航への影響を懸念して出社するのではなく、ためらわず申告・離脱できる環境を整える。

 JALは、客室本部に「客室乗務員では同様の問題は起きない」との過信があったことも組織課題に挙げた。客室安全委員会への安全推進本部の参画や客室安全推進部の増員などを通じ、事案発生後の対応だけでなく、潜在リスクの把握と予防策を強化する。