パスポート手数料引き下げでも海外旅行需要は限定的、取得予定者の約7割が渡航予定なし
2026年7月からのパスポート発行手数料引き下げを前に、セレスが実施した調査で、手数料引き下げを機にパスポート取得を予定している人の約7割が、現時点で海外旅行の予定はないことが分かった。
調査は全国の12歳以上2万人を対象に実施したもの。それによると、パスポート発行手数料引き下げを認知している人は38.8%にとどまり、61.2%が制度変更を知らないと回答した。また、「手数料引き下げを機にパスポートを取得する予定」と回答した14.1%のうち、67.5%は今年海外旅行へ行く予定がないと回答したという。
旅行需要を左右する要因では、59.7%が物価高の影響を受けていると回答した。具体的には「旅行頻度を減らす」が37.9%で最も多く、旅行予算も「5万円未満」が42.9%を占めるなど、旅行支出を抑える傾向が鮮明となった。一方、7月から1000円から3000円へ引き上げられる出国税については、71.4%が「海外旅行の検討に影響しない」と回答し、旅行判断への影響は限定的との結果となった。
渡航先の選択では、安全性への意識も高まっている。「今後旅行したいエリア」は台湾が44.3%で最多となり、欧州、北米が続いた。一方、「控えたいエリア」は中東、中国、ロシア・東欧が上位となり、地政学リスクを踏まえた渡航先選びが進んでいることがうかがえる。
燃油サーチャージについては53.2%が負担を懸念していると回答。物価高や燃油サーチャージの影響で旅行先を変更した経験がある人では、「海外旅行から国内旅行へ変更した」が47.5%で最多となり、旅行コストの上昇が海外旅行需要に一定の影響を及ぼしていることが示された。
今回の調査では、パスポート取得コストの引き下げは取得意欲を後押しする一方、実際の海外旅行需要を押し上げる効果は限定的であることが浮き彫りとなった。旅行需要の本格回復には、物価高への対応や燃油サーチャージの動向に加え、安全性への配慮を踏まえた商品造成や販売戦略が求められそうだ。