新卒初任給、7割近くが増額も小規模は半数止まり 賃金逆転への懸念も
帝国データバンクが実施した2026年度の新卒初任給に関する企業アンケートによると、67.5%の企業が前年度から初任給を引き上げると回答した。平均引き上げ額は9462円に上昇し、初任給水準も全体として底上げが進んでいる。一方で、小規模企業では引き上げ割合が50.0%にとどまり、原資不足や既存社員との賃金バランスへの懸念が浮き彫りとなった。
調査は2026年2月上旬に実施され、有効回答は1541社。初任給を引き上げる企業67.5%となり、前年度から3.5ポイント低下したものの、依然として7割近い水準を維持した。背景には人材確保や定着率向上への対応、最低賃金の上昇、賃金テーブル全体のベースアップの実施がある。物価高や原材料費高騰で経営環境が厳しいなかでも、採用競争力を維持するため引き上げに踏み切る企業が目立つ。
一方、引き上げを見送る企業は32.5%に増加した。既存社員との賃金逆転への懸念や、全体の賃上げに踏み込む余力の不足が主な理由。特に中小企業では、仕入価格や社会保険料の上昇が重荷となり、初任給のみを引き上げることの難しさが指摘された。前年度に引き上げたことから今年度は据え置くとする企業も一定数みられる。
規模別では、大企業65.6%、中小企業68.2%といずれも6割台後半となったが、小規模企業は50.0%と大きく下回った。資金余力の限られる小規模企業では、人件費増を価格転嫁できないことが最大の壁となっている。
引き上げ額は「1万〜2万円未満」が最多で、平均は9462円と前年度を上回った。規模別では大企業が9749円、中小企業が9371円と、大企業がやや上回る。初任給額の分布では「20万〜25万円未満」が6割強で最多となり、「25万〜30万円未満」は17.8%と2割近くまで拡大した。20万円未満の割合は大きく低下し、初任給水準の上昇傾向が鮮明となった。大企業では25万円以上が3割に達する一方、中小企業では2割未満にとどまり、水準格差も続いている。
初任給引き上げは採用面で一定の効果が見込まれるが、社内の賃金バランスや人件費総額の増加という課題も抱える。とりわけ中小企業にとっては、価格転嫁の進展や生産性向上による原資確保が持続的な賃上げの前提となる。政府による支援策の充実とあわせ、取引慣行の見直しやコストの可視化など、実効性ある取り組みが求められる局面となる。